#094 Zadar
ザダル(クロアチア)

戦禍から幾度となく立ち上がってきた港町

グーグルアースによりパソコン上で発見された、ガレシュニャク島。(C)クロアチア政府観光局)

 地図アプリのグーグルアースの普及によって近年発見された(!?)ハート型の島、クロアチアのガレシュニャク島。個人所有の島なので、勝手に立ち入ることはできませんが、遊覧飛行やウエディングのアレンジなどもできるとか。

 そのガレシュニャク島への拠点となるのが、同じくクロアチアの北ダルマチア地方の港町ザダルです。

 はじまりは、紀元前9世紀、リブルニア人によって興された集落にまでさかのぼります。紀元前3世紀ごろからローマ帝国が勢力を伸ばし、中世にはヴェネチア、近世にはオーストリア、イタリア、近代にはユーゴスラビアなど、この街の覇権をめぐって争いは繰り返されてきました。1991年には内戦によって壊滅的な状況に陥ったことも。

堅牢な城壁を抜けて、旧市街地へ。ローマ時代にトリップしたよう。
古き良きヨーロッパを感じるザダルの旧市街。ローマ時代の柱が残されています。

 幾度となく戦火を潜り抜け、そのたびに立ち上がってきたザダル。けれど第2次世界大戦からの復興では、ヒッチコック監督が“もっとも美しい夕日がみえる”と賞賛した海岸をコンクリートで護岸してしまい、人が寄り付かなくなってしまったとか。そこで、立ち上がったのが、建築家のニコラ・バシッチ氏。

2016.05.28(土)
文・撮影=古関千恵子