幻想的な自然美を見せる洞窟の名は「天国の洞窟」

フォンニャ洞窟を出て、隣にあるティエンソン洞窟へ。入り口まで続く500段以上の階段は、少々体力が要る。

 フォンニャ洞窟の隣にあるのは、ティエンソン洞窟。「仙人山の洞窟」と名付けられたこの洞窟は、1935年に発見された。入り口はフォンニャ洞窟から200メートル山の上にあり、500段以上の階段を昇らなければならない。

左:階段の途中には、土産物屋を兼ねた茶屋も。冷えたさとうきびジュースや、国民的英雄、ホー・チ・ミンのグッズが売られている。
右:全長約1キロのうち400メートル地点までが公開されているティエンソン洞窟。上から、左右から、迫るような鍾乳石が圧巻。

 強い日差しのなか、汗を流しながら歩くこと30分。たどり着いたティエンソン洞窟は、ヒンヤリとした空気の中に鍾乳洞がライトアップされていて、神秘的なムード。入り口までの昇り階段がハードなためか観光客も少なく、秘境感もいっそう増す。洞窟の外に出ると、眼下には素朴な田園風景が広がっていた。

眼下に広がるのは、ソン川の周辺に広がる田園風景。

 この国立公園でもっとも美しいと呼ばれているのが、ティエンドゥオン洞窟だ。別名は、その名も「天国の洞窟」。規模は世界最大級で、全長は31キロ、高さは最大で200メートルにも及ぶ。そのなかに広がっているのは、異次元を想像させるような光景だ。

 ここは発見が2005年と比較的新しく、世界遺産(2003年登録)には含まれていないが、フォンニャ・ケバン国立公園の最大の見どころでもある。洞窟内は約1キロの遊歩道が整備されていて、観光客はここを歩いて見学をすることができる。青みを帯びた天井の下には彫刻のような鍾乳石が点在していて、まるで美術館にいるかのよう。

長い年月をかけて造られた自然の造形美を、遊歩道を歩いて見て回る。

2016.05.06(金)
文・撮影=芹澤和美