いまは「残しておきたい」って思えるモノばかり
モノが減っていくと、家の中に置いてあるモノをどんどん好きになり、そこでの時間がとても大切に感じられます。モノを減らしていく過程の中で「残しておきたい」って思えるモノばかりになっていくから。
ブランケットも見た目だけでなく、肌触りなどにもこだわるようになりました。
今使っているブランケットは、ラプアン カンクリのもの。軽くてフワフワしたラムウールは、とても気持ちがいいです。パステルグリーン系の懐かしい模様がかわいらしくて、夜にソファでこのブランケットにくるまって映画を観るのはとても楽しみな時間です。
洋服をはじめとして衝動買いをしなくなったので、こういう部分に時間とお金をかけられるようになったのも大きな変化。もちろんまだ、うっかり失敗することも多いのですが……。
そしてインテリアのポイントとして、小さな置物や私のカラフルな絵や陶器の作品、またいくつか持っている他のアーティストの写真や絵の作品などを時々入れ替えながら飾ります。
絵本や写真集を飾ることもあります。せっかく本棚を一つ減らして好きな本ばかりを残したので、好きなページを開いて、ワイヤーディスプレイスタンドに立てかけて飾っています。こういうビジュアル本は、モノトーンやパステルカラーなどページをめくるだけで雰囲気が違ってくるのでお手軽な模様替えとしてオススメです。
本当は植物も増やしたいのですが、留守が多いため、今は以前から育てている大きめの観葉植物ふたつを枯らさないようにするので精一杯です。でもグリーンが多いとやっぱり落ち着きますよね。軽井沢と福井は、家の窓を開けるとそこは緑がいっぱい。借景を楽しむことにしています。
松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/
Column
松尾たいこの三拠点ミニマルライフ
一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。
2016.03.12(土)
文・撮影=松尾たいこ