数多の恋愛、結婚を経て……いつまでも「女」であることを愛で続けた宇野千代『精選女性随筆集』(小池 真理子 選)
宇野千代は、80歳を迎えて刊行された自身の全集(1977~8、全12巻、中央公論社)の最終巻の「あとがき」を、次のように結んでいる。私は自分のことを、小説家ではなく、随筆家かと思っている、と書いたが、小説であれ、随筆であれ、確固たる哲学的思惟なしに書けるものかと言う気がする。この点で自分は、文学者として欠格かと思うと、まことに肌寒い思いがある。
- CULTURE
2024/03/13