紀伊國屋書店梅田本店 奥野菜緒子さん
たった一度のボタンのかけ違いで、二度と元の関係には戻れなくなってしまうことはある。そんな人生の脆さや切なさ、運命に抗おうとする人々の健気さにもうどうしようもなく感情移入してしまった。彼らにとって、どうかちょっとでも世界が優しくありますように。困ったひとも多いけれど、困っているひとには手を差し出さずにはいられない。そんな大阪の愛おしいところが形になった小説でした。

田村書店吹田さんくす店 村上望美さん
まるで壮大な舞台劇を見たような、素晴らしい群像劇でした。これでもかとミナミを詰め込み、そして織り上げられた作品の完成度たるや。成功、挫折、人情、人生、いろいろな人の魂が込められた作品。ぜひとも地元大阪の人に読んでほしい。

BOOKSえみたす富士吉原店 望月美保子さん
ちょっと冷たい物言いも裏を返せば愛情の証か。ボケとツッコミの絶妙なテンポが唸るお笑いとは真逆に言い表せないもどかしさと感情に蓋をしてやり過ごす日常を生きている。素直になれないジレンマがお互いを苦しめ、互いを理解した時に流す涙が切ない。
ミナミの春は人情味に溢れ笑いと涙に包まれてまたその季節を迎える。
胸の奥が暖かくなる一冊でした。

くまざわ書店調布店 山下真央さん
悲しさも悔しさも、あたたかさも巡り巡っていることが伝わってくる作品でした。
自分が苦しんだ時、誰かに支えられた。また自分は他の誰かを支えていく。
そんなあたたかさが連鎖している。東京とはまた違う、ミナミならではのあたたかさがこの作品なのかなと思いました。

紀伊國屋書店高槻阪急スクエア店 北辻祥子さん
令和の今から昭和を思い出しながら読める群像小説でした。
大阪の街の移り変わりが詳細に描写されていて、大阪人にはぐっときますね。私はSONYビルが出てきたのがうれしかったです。
そして高槻市民はほぼキタで遊ぶからミナミに詳しくないのとても同意。
泥臭くて暑苦しくて一生懸命、人生の酸いも甘いも通過して、たくさんの桜吹雪が目に見えるような大団円のラスト。この小説を読んで、大阪人が「やっぱ人情最高やな!」とか言ってもっと暑苦しくならないか心配です。ユニバはクール・ジャパンやのに……。

2025.04.16(水)