声でどう表現するのか悩みました
――実際にティアを演じたエル・ファニングさんのお芝居はどのように意識されましたか。
もともとエル・ファニングさんのお芝居や声の表現が大好きなんです。今作ももちろんそうですが、私がこれまで吹き替えで担当させていただいた別の作品でも、エル・ファニングさんが演じる陽気でコミカルな表現やお芝居は、しっかりと私の中に残っているので、声の抑揚や声色など、彼女の持つ雰囲気や魅力を、日本語でも損なわずに表現したいと思いました。
――チャーミングなセリフが多かったということですが、実際に演じてみて、特に印象的だったセリフはありますか。
具体的なセリフではありませんが、出会った瞬間からずっと一人で喋り続ける、デクとの出会いのシーンは「ティア節全開」だと思っています。
デクから遠く離れるシーンもティアらしいセリフが出てきます。泣き言や恨みを口にするのではなく、置かれた状況を楽しむ、というのがティアらしくて、とても好きなシーンです。
エル・ファニングさんの表情も本当にチャーミングなので、アフレコしていても楽しかったです。
――役作りにおいて、どんなところが大変でしたか。
エル・ファニングさんは今回、陽気でおしゃべりなだけでなく、ものすごくシリアスな表現もされています。その広い振り幅を、日本語の声でどう表現していくかは、かなり悩んだところです。どういう雰囲気で、どこまで声を変えていくのかは、正解がないので、音響監督やスタッフのみなさんにたくさんアドバイスをいただきながら、少しずつ声を決めていきました。
――監督からはどのようなアドバイスがあったのですか。
「声にしっかり振り幅をつけていい」と言っていただきました。そのお言葉をいただくまでは、自分のなかで、いちキャラクターを演じるにあたり、どの程度変化をつけてよいのか迷っていたのですが、「しっかり変えてやってみましょう」と言われて手がかりがつかめました。
――早見さんがお考えになる本作の魅力を教えてください。
本作は「プレデター」シリーズとはこういうもの、という固定概念を根底から変える作品になっていると思います。初代から受け継がれてきた、狩りをするプレデターの戦いの流儀や信念はブレずに、これまで観たことがない新しいプレデターに出会えるのは、本作のいちばんの魅力だと思います。
もちろん、プレデターに“相棒”が生まれる、という点も大きな見どころです。自分以外の誰かとタッグを組み、共に息を合わせる。そんなプレデターをあなたは見たことがありますか、と大きな声でおすすめしたいです。
ぜひ劇場の大きなスクリーンで、プレデターとアンドロイドという規格外コンビをお楽しみください!
早見沙織(はやみ・さおり)
声優。5月29日生まれ、東京都出身。中学3年のときに声優デビューを果たす。主な出演作は『鬼滅の刃』(胡蝶しのぶ役)、『SPY×FAMILY』(ヨル・フォージャー役)、『ONE PIECE』(ヤマト役)等。2025年には、『雨と君と』主人公の藤役、『ブスに花束を。』主人公の田端花役などがあり、2026年1月からも『魔術師クノンは見えている』主人公のクノン役などで出演予定。
『プレデター:バッドランド』
2025年11月7日(金) 全国ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
原題:『Predator: Badlands』
監督:ダン・トラクテンバーグ
キャスト:エル・ファニング
