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 約30年ぶりの劇場版完全新作、映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』で初共演を果たした峰不二子役の沢城みゆきさんと、ゲスト出演の片岡愛之助さん。

 役作りの苦労や「不老不死」について伺いました。

【前篇】まるでジム・キャリー? 片岡愛之助の怪演 ルパン三世最新作で初共演した沢城みゆきが明かす“感動の瞬間”


――本作の役作りではどのようなご苦労がありましたか?

沢城みゆきさん(以下、沢城) 私は増山(江威子)さんから峰不二子を引き継いだのですが、増山さんが演じると、彼女の天性の声色の魅力もあり、“普通の不二子”の時でも、とんでもなく甘さが香るんです。

 増山さんからは、「不二子は盗むのが好き。盗んだら、はい、おしまい。これだけ」とヒントをいただいていていました。不二子ちゃんは、どの人とも磁石がついていて、特定の誰かと絶対にくっつかないイメージなんです。誰に言い寄られても、一定の距離を保つと、”らしさ”が出るのかなと……。

 今回は特に、単独で行動する孤高の女泥棒……という印象が強かったです。

片岡愛之助さん(以下、愛之助) 確かに本作の不二子ちゃんは、単独行動が強い印象を受けました。

沢城 誰のことも目に入っていないというか、まわりが見えていない。増山さんがおっしゃっていた、「盗みたい」という思いしか残っていない不二子ちゃんの根本を出したつもりですが、難しかったです。

愛之助 僕は、だんだんセリフがなくなっていくので、そこからは苦労しかありませんでした。

 まず、ムオムという人……。そもそも、“人”ですらないわけですが、それをどの声でやるのか、というのに悩みました。現場に行って監督に「どんな感じでいきますか?」とお聞きしてみたのですが、「……ねえ。どんな感じでいこうか?」と逆に聞かれて困りました(笑)。

 これまでいろいろな役を演じさせていただきましたが、さすがに“人間ならざるもの”の声をやらせていただくのは初めてでしたので、どんな感じにしたらいいかまったくわかりません。とにかく手探りで、「やってみます」と何パターンか用意した中で、「じゃあこれでいこう」と監督と相談しながら進めていく、というやり方をさせていただきました。

――後半のムオムは、「セリフ」がほぼ音だけになっていました。「ウー」「アー」の音で表現するご苦労のほかに、どのようなことを意識されたのでしょうか。

2025.07.05(土)
文=相澤洋美
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=沢城みゆき:チチイカツキ、片岡愛之助:ヘア=山崎潤子/メイク=青木満寿子
スタイリスト=沢城みゆき:河野素子、片岡愛之助:九