「フィンランドへ初めて行ったのがほんの数年前のことなんです」
――なぜでしょう? なぜみんなそんなに魅せられるんでしょう。なにひとつ変わらないカウリスマキに郷愁を抱くから?
大島 かもしれません。みんな疲れているんだろうなって(笑)。ただ、「変わらない世界」を描くのも大変だと思うんです。カウリスマキの場合、すべてロケで撮影を行うわけですが、彼の地元であるフィンランドのヘルシンキをはじめ、ヨーロッパの街並みは、東京のようにタワマンが建ったり改造されたりすることはないけれど、それでも20年も経てば様子は変わっていく。同じことをやるのもだんだん困難になってきているはずなんです。
でもそれを一貫してやり続けているのがすごい。しかも、今回は、とうとうインターネットカフェが出てきた! と思ったんだけど、ネット感はまったくゼロでしたし(笑)。
――わざとですかね?
大島 わからない。スマホも出てくるけど、結局はメモ書きでやり取りをする。現代のツールを機能させないんです。ただ、ウクライナの問題は明示されていました。上手いなと思ったのは、ラジオのニュースからしかウクライナ情勢が流れてこないこと。だからちょっと虚実が反転している感じがするというか。
 
――確かに、並行世界のような感じがしますよね。ヘルシンキのようでヘルシンキじゃない感じがするというか。
大島 実はぼく、フィンランドへ初めて行ったのがほんの数年前のことなんです。2019年に『ムーミン展』のアートディレクションを担当したんですが、その下見で行ったのが最初でした。
――そうでしたか。大島さんは何度も行ってるものだと、てっきり(笑)。
大島 みんなそう言うんです。長年カウリスマキをやってるし、『かもめ食堂』とかもやっているので、「大島さん、フィンランドはもちろん詳しいですよね」って。実はそのときが初めてだったという(笑)。
――どうでしたか?
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- 文=辛島いづみ 
 写真=平松市聖
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