懐かしの酢豚、焼きそば、点心も!

 懐かしかったといえば酢豚。私は酢豚は苦手だけれど、ロンフウフォンでだけはよく食べていた。森田さんにそのことを伝え、「絶対同じ味なら食べたい」と言うと、「シェフに教わった作り方だから大丈夫」と言う。ジャーッと厨房から聞こえる軽快な揚げ音のあとに登場した黒酢の酢豚は、確かにロンフウフォンの味!

 しかも!! ロンフウフォン時代は一度たりともできなかった「withごはん」である。もちろんハンバーグのときに「次に酢豚が来るから」とちゃ~んと節約しておいたのだ。

テリテリの黒酢の酢豚。バラのなかでも質感によって切り分けているのでとても食べやすい。

 そして、マダムの爆弾発言。「ロンフウフォンのときシェフに聞いたらね、この酢豚はあんまり酢を入れないのがいいんだって」。なんと! 私が唯一愛する酢豚の秘密は「酢をあまり入れない」だったのだ! わかりやすすぎて腰が抜けた。

 締めは焼きそばにした。きのこをいっぱい入れてもらって、シンプルに。醤油味ベースできゅっとした麺がまた懐かしいし、おいしいし。食感がありすぎるものは入っていなくて、すべての具材が細長くてそばと一体化しているところが好きだよな~と蘇る愛の記憶。

焼きそばは塩ベースと醤油ベースの2種類。こちらは醤油。

 最後の最後に、再会を祝して仕事を終えた森田“シェフ”としゅうまいで乾杯。むっちり肉としいたけの、お酒に合うしゅうまい。珍しくお酒も結構飲んでしまいました。

紹興酒の効いたしゅうまいが、同じ紹興酒に合いすぎてつい飲み過ぎました。

 以前はコースだけだったけど、アラカルトならたとえひとりでも気軽に来られるなぁ。と、思いつつ、席数が少ないから予約がバンバン入って埋まってしまいそうな気もする……。とはいえ、長く続けて欲しい、ちょいちょい行きたいお店の復活だ。

まだまだ食べたいものが尽きない黒板。変わるものも多そうなので日を置かずに行きたい。

ロウホウトイ
所在地 東京都港区白金5-14-8
電話番号 非公開
[2016年2月来訪]

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2016.02.17(水)
文・撮影=北條芽以