バーバリーの化粧品が本格始動
折も折、バーバリーの化粧品が本格的なスタートを切った。ファッションブランドの化粧品参入は、私たちが思うほど簡単じゃなく、失敗して撤退したブランドも少なくないし、老舗コスメブランドでさえ苦労しているカラーコスメ。バーバリーだからって、それだけで飛びつく時代じゃないしねと、努めて冷静な目でラインナップをのぞいてみたが、正直驚いた。あまりによくできていて。ひと言で言うと、カラーコスメのことを知り尽くしている人が、手抜きとかごまかしなく、丁寧かつ大胆に作りあげた傑作。ハッキリ言って期待以上。当たり外れなく全アイテムが、しみじみいいのだ。
色が正しい。品質がいい。アイデアがある。そしてデザインレベルも高い。アイコンであるチェック柄を随所に施し、細工にも手間をかけ、口紅など磁石でカチッと装着でき、構造的にも緻密に作られている。何よりもテクノロジーの最先端を行くような手慣れた商品づくりに目を見張った。特にファンデーションの素晴らしさ、チーク&リップの面白さ、ヌーディカラーの巧み……それらはもはや、コスメのトップブランドの仕事なのだ。
そこで見せつけられたのが、ブランドの力、ブランドのプライド。ネームバリューに甘んじない完璧主義と、コスメ界でもいきなりど真ん中に躍り出ようとする気概が満ち満ちていた。これが一流ブランドなのだと思い知ったわけである。バーバリーは不滅、それどころか何だか新たな次元に昇華しそうな勢いである。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.12.02(水)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫