水の流れが人の流れに変わった堅拿道東・西

 香港の新宿とも言うべきビッグシティ、銅鑼湾(コーズウェイベイ)には、地図に掲載されていませんが、「鵝頸橋(ガチョウの首橋)」と呼ばれている場所があります。タイムズスクエア横にあり、ヘネシーロード、グロセスターロードを跨いで海底トンネルへと続く道路がそれです。正式名称は「堅拿道東・西(カナルロードイースト・ウェスト)」。そう、以前は名前のように、この橋の下に運河が流れていたことから、カナル(運河)ロードと命名され、それが現在の正式名称となっています。

間口が扉ひとつ分しかない店舗はこぢんまりとしていて、見落としてしまいそうなほど。

 その長く伸びる「鵝頸橋」の下に、小さな間口のフレグランスショップが2014年にオープン。Marcus Spurway(マーカス・スパウェイ)という名の、1825年にフランス・カンヌで創業した190年の歴史を誇る老舗フレグランスショップで、香港がアジア初の店舗となります。フレグランスからスキンケア用品、ディフューザーやキャンドルなどもありますが、特筆すべきは、世界にただ一つの「自分の香り=オリジナルパフューム」が作れることです。

 店内に入ると23種類の香料と、すでに調香されたパフュームがガラスの瓶に入って並んでいます。上段に置かれた、注ぎ口のあるボトルに入った香料は、ウッディーな香りからフローラルな香りまでが、右から左へと並べられていて、その下にあるガラスケースに入ったサンプルストーンで香りを確認することができます。オリジナルパフュームの作り方はいたって簡単。まず、もとになる好きな香料を選び、そこに少量ずつ別の香りを足していけば完成!

壁一面にずらっと並んだ香料の瓶。その下にあるサンプルストーンで香りを確認します。

2015.11.18(水)
文・撮影=ジェニー中村