今まで演じたことのないハードな役柄

――そして、出演最新作『ハードロマンチッカー』。最初に脚本を読んだ印象はいかがでしたか? 

 スゴく面白くて、この活字がどう映像化されるんだろう、きっと、ものスゴい映画になるんじゃないかと思いました。それが実際出来て、繋がったものを見たら、グ監督のポップ感みたいなものがプラスされていて、楽しかったです。面白い作品だと思うし、自分がこの作品に携わることができて光栄です。

――辰という役は、NHK連続テレビ小説「おひさま」など、これまでの永山さんのイメージにはないハードな役柄だったと思いますが、ご自身的に戸惑いみたいなものはありましたか?

 それはまったくなく、絶対にこの役をやりたい、と思いました。世間的には「おひさま」のイメージもあると思いますが、僕は僕なんで、どんなイメージを持たれているかは分からないし、特にそれに縛られている感じはないんです。だから、それを壊してやろうみたいな気持ちもなく、今まで演じたことのない役柄だったので、演じられることがうれしいという気持ちでいっぱいでした。

――兄貴分を演じた、松田翔太さんとの共演はいかがでしたか?

 松田さんとは、この仕事をする前から仲良くしてもらっていて、結構プライベートでもお会いしています。それだけに、今回の現場では普段なかなか見ることができない役者としての姿を見せてもらいました。特に視界に入れることも怖いぐらいの、集中力の高め方。これは勉強になりました。

――ご自身の役作りに関しては、いかがでしたか?

 まず、自分のやり方でやってみた後、このセリフはこんな感じでと監督の指示を受ける。現場で監督と話しながら作っていった感じです。グ監督もスタッフも、職人さんでスゴい方ばかり。ひとつの画を作るまでのセッティングに、じっくり時間をかける。それが仕上がった後、その世界の中に入れるということで、僕のテンションも高くなる。とても心地いい現場でした。そして、言葉でどうのこうのというのはなく、五感でいろんなものを感じる現場でした。

――仕上がった作品をご覧になった感想は?

 なかなか最近、見られないような映画になったと思います。毎日必死で生きている感じとか、煮え切らない想いとか、男らしさとかが凝縮されていました。外見に出なくても、男なら誰でもロマンチックなものを持っていると思うんです。だから、女性でこの作品を見る方には、男という生き物を知ってもらって、受け止めてもらえたらうれしいですね。

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2011.11.18(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Miki Fukano
styling:Akira Maruyama
hair&make-up:Chie