乾いた砂漠を眺めながら潤う至福のスパ

スパは、客室棟と同様のアラビア様式の建物。エントランスには花が植えられていた。

 「アナンタラ」はタイに本社があり、アジア、中東、アフリカの11カ国に、約40のホテルやクルーズ船をもっている。タイ国外で初めての進出先がモルディブ、そして2009年、2番目の国外進出先がここ、アブダビだった。

 最初に、タイのホアヒンにある「アナンタラ」を取材したときには、ちょっとした衝撃を受けた。一歩間違えれば過剰すぎると言われそうな、至るところに意匠を凝らした建築が、南国の気候とあいまってエキゾチックな美空間を創りあげていた。

スパのレセプションは天井が高く、照明はアラビアスタイルのアイアンワークのシェードがエキゾチック。

 ことさら、スパのデザインは夢の世界へと誘ってくれているようで素晴らしかった。その後もいくつかの「アナンタラ」を取材したが、「アナンタラ・スパ」は、その建築デザインもさることながら、トリートメントの質の高さでも印象深い。

 前置きが長くなってしまったけれど、ということで、今回楽しみにしていたことのひとつに、「アナンタラ・スパ」があった。客室棟と同様のアラビアスタイルの外観。レセプションロビーでお茶とデーツをいただきながら、トリートメントの好みなどのアンケートに記入。そして、トリートメントルームに案内された。

トリートメントルームは砂漠ビュー! 手前に水が張ってあるので砂漠が涼やかに感じられるという、心地よい造りになっている。

 部屋に入ると一気に心がほぐれる。正面に砂漠が見えたから。カラカラに乾いた砂漠を眺めながら潤うトリートメントだなんて、なんて贅沢なギャップ! バラの花びらを浮かべたフットバスで足を洗ってもらった後は、タイ人セラピストの熟練のワザでめくるめく世界へと誘われたのだった。トリートメント後のリラクゼーションスペースももちろん、砂漠ビュー。

左:カップルでトリートメントを受けることができるダブルルーム。カバーのセッティングに、アナンタラのブランドカラーのオレンジが効いている。
右:フェイシャルトリートメントで使用されるのは、イギリスの高級スキンケアブランド「エレミス」。
時間がなくて体験できなかったけれど、トルコスタイルの本格的ハマムもある。

2015.08.14(金)
文・撮影=たかせ藍沙