ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

円錐形をした建物の周りには石が積み上げられ、植物がうっそうと繁る。まるでおとぎの国の想像上の家のような奇想天外っぷり! 時折上から水がしたたり落ちて緑をうるおす。レストランや屋内外プール、スパ、各種アクティビティもあって、意外なほど(笑)、快適で楽しい滞在だった。(撮影=たかせ藍沙)

「この中に泊まれるの?」と誰もが驚くホテルへ

「モンタナ・マジカ・ロッジ」の客室に荷物を置いて外に出てみると、緑が繁っていて、窓が見えないくらいモジャモジャしていた(笑)。上から水が流れている! 右にある吊り橋は、今は通行止めとなっている。

 今回の旅の中でもっとも情報が少なく、ファーストクラスの旅というよりは、いろいろな意味で冒険となった場所がここ、ウィロウィロだ。その、ちょっとかわいい発音の場所は、アンデス山脈のふもと、パタゴニア地方の熱帯雨林のほぼ中央、ユネスコの世界遺産にも登録されている自然保護区の一画にある。移動のフライトは短距離なので、世界一周航空券とは別に購入した。

 旅の情報を調べているとき、何度となく目にしていた印象的な写真があった。そこには、円錐形の蟻塚に植物が生えたような奇妙なモノが写っていた。窓があるのでかろうじて人工物だと分かるけれど、建物として造られたものなのか、何かをくり抜いているのか分からない。雪に覆われた写真、上部から滝のように水がしたたり落ちている写真……。「いったい、これ、何?」と何度も思っていた。

 そんなとき、奇想天外ホテルを集めた本の中に、写真を見つけた。場所はチリのウィロウィロ。チリならウユニ塩湖があるボリビアの隣だし、「行けるかも」と、簡単に決めてしまったのだ。

 でも、ここからが大変だった。隣の国といっても南米は広い。最寄りの空港さえ分からなかった。ホームページはスペイン語(現在は英語のページあり)で、グーグルの翻訳機能を使ってもアクセスが分からない。南米に強い旅行会社4社に聞いたけれど、誰も知らなかった。ホテルのホームページから予約を入れてアクセスを聞いても返事が来ない。「本当に予約は入っているのかしら? そもそも、営業しているの?」と心配になってきた。

テムコの空港は新しくて、思っていたよりもずっと近代的で、無料Wi-Fiもあった。

 日本の旅行会社から現地に聞いてもらって、やっとこさ、テムコという町の空港から車で3時間ほどかかるということが分かった。営業もしているようでひと安心(笑)。それからフライトを調べたら、行きも帰りもチリ国内で1泊しないと乗り継げない。軽い気持ちで行き先を決めたものの、時間も経費も予想外にかかることになった。でも、目的地がどんなところなのか、相変わらず情報は少なかった。

 ウユニ塩湖からボリビアの首都ラ・パスを経由して、チリの首都サンチャゴで1泊、翌朝に国内線でテムコへ移動したところで、旅行会社で手配してもらった車が迎えに来てくれていた。そして約3時間後、車は土煙が上がる乾燥したオフロードを登り、木造のエントランスに着いた。あの建物はまだ見えない。「ここでいいのかしら」と、まだ不安が消えない(汗っ)。

チェックインをして、長い廊下を渡ると別の建物につながっていた。写真左手から螺旋状に上り階段が続き、階段に沿って客室のドアがある。
客室に着いた。斜めの壁と窓の形が写真で見た建物と同じ!
バスルームは意外と広い。タオルやバスローブ、スリッパもあって快適だ。窓と反対側にはバスタブもある。

 レセプションでチェックインを済ませ、案内されたのは螺旋状になった階段をぐるぐる上った上の客室。中は壁が斜めになっていて、料金のわりにはかなり狭い。が、形状からしてあの建物に間違いなかった。

建物のこちら側はモジャモジャ度が低く(笑)すっきりしていた。ボルケーノをイメージして造ったのだという。

 そして外へ。ネットで何度も見かけたあの建物があった!! でも、写真よりもかなりモジャモジャしていた(笑)。この建物は、ボルケーノ(火山)をイメージして造られたという「モンタナ・マジカ・ロッジ」。「魔法の山ロッジ」と名付けられている。

ホテル施設は屋根のある渡り廊下で繋がっているが、他に、敷地内を散策できるボードウォークがある。ボードウォークの穴を貫いて木が生えているので、歩くときには前方注意(笑)。自然環境を守るというコンセプトがこんなところにも生きている。

2015.07.03(金)
文・撮影=たかせ藍沙