ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

湖水の水深はたったの2センチほど。ウユニ塩湖は、四国の半分ほどの面積という広大な天空の鏡だ。歩いていると、まるで雲の上にいるような錯覚に陥ってしまう。素足で歩きたくなるけれど、塩分濃度が飽和状態に近いのであっという間に脱水してしまうのだとか。よく見ると、水面には塩の結晶が浮かんでいる。標高が高いので照り返しも強烈だ。自然環境が過酷なほど、絶景も美しさを増す気がする。(撮影=たかせ藍沙)

国内線就航でアクセスしやすくなったウユニ塩湖へ

到着時間が近づくと、アマゾナス航空機の窓の外にウユニ塩湖がみえてきた。

 ペルーのクスコからボリビアの首都ラ・パスへ。この区間は世界一周チケットを使わず、別途購入した。短距離の路線にはファーストクラスはないので、ここで使ってしまってはかえって割高になるからだ。ラ・パスで1泊してから、南米でどうしても行きたかったもうひとつの目的地、ウユニ塩湖を目指して南下する。

 以前は、ラ・パスから車で10時間かけて行くしかなかったウユニ塩湖。2011年からは、空路でたったの1時間で行くことができるようになった。ファーストクラスのフライトなら10時間もあっという間だけれど、車の10時間はけっこう辛い。ということで、今回の旅で選んだのは空路のほう。

ウユニの町では、ほとんどの建物が平屋建て。高地ならではの強烈な太陽が照りつける。

 ほぼ100%観光客と思われる乗客(日本人も多い)を乗せた小型機が、ウユニの小さな空港に降り立った。高度に慣れてきたので、今回は息切れをせずにスーツケースをピックアップ。迎えの車に乗って、まずはウユニの町へ。ホテルは塩湖に近いので、その前にまずは周辺の観光をすることにしたのだ。

市場で3種類のトウモロコシを売っている女性。トウモロコシとイモは種類が多い。
市場の外の屋台でランチをとる人々。女性のスカート、帽子、長い三つ編みがボリビアならでは。

 町を歩く女性たちは、ボリビア特有のペチコートを何枚も重ねたふわふわのスカートをまとい、山高帽をかぶったり、長い三つ編みを垂らしたりしている。山高帽は、ヨーロピアンが持ち込んだものを、女性が好んで頭に載せたことが始まりなのだという。

列車の墓場。様々なペインティングが施されていて、車両の上に乗って記念撮影することもできる。

 それから少し離れた場所にある列車の墓場へ。これらの列車は、その昔、ウユニからチリへと塩や鉱物を運んでいた列車がうち捨てられているもの。落書きのようなペインティングが施され、中に入ったり、上に登ったりして楽しむことができるので観光客に人気がある。

塩の村、コルチャニの土産物店。アルパカの毛を使ったセーターや手袋、キーホルダーなど、様々な土産物を売っている。
ウユニ塩湖の塩。古くから塩がこの村の生活を支えてきた。

 その後は、ウユニ塩湖までの途中にある塩造りの村、コルチャニ村へ。ここは、ウユニ塩湖へ行く世界各地からの観光客が必ずといっていいほど訪れる村。ウユニ塩湖から切り出してきた塩のブロックや、塩の精製方法などを見学してから土産物店を散策。100グラムの塩をふたつだけ買った。これから先の旅のことを考えて一度は諦めてお店を後にしたものの、もう一度戻った。200グラムなら一緒に旅を続けられそうな気がして。

 そして、いざ、ウユニ塩湖へ!

湖の塩は、このようにして円錐形に盛って、ある程度乾燥させてから集められる。コルチャニ村の近くにはこのような塩の小さな山がたくさん並んでいる。

2015.06.26(金)
文・撮影=たかせ藍沙