夏休み、猛暑から少しでも逃れて、クールな旅はいかがだろう。現在、札幌で初の国際的なアートフェスティバル「札幌国際芸術祭2014」(SIAF2014)が開催中だ。テーマは「都市と自然」。坂本龍一をゲストディレクターに迎え、市内各所で、現代アートを中心に、音楽、パフォーミング・アーツ、メディア・アートなど、さまざまなプログラムが展開されている。

坂本氏らの展示場となっている、モエレ沼公園にあるガラスのピラミッド。
Ryuichi Sakamoto + YCAM InterLab “Forest Symphony in Moerenuma”(C) Kentaro MINAMI(SS)

 坂本氏らは今回、イサム・ノグチの巨大なアート作品、モエレ沼公園にあるガラスのピラミッド「HIDAMARI」の中で、《フォレスト・シンフォニー in モエレ沼》を展示している。

 この作品は、2013年に山口芸術情報センター「YCAM」と共同で製作されたものの、SIAF2014バージョンとなっている。札幌をはじめ国内、海外の12の樹木にセンサーを設置し、それぞれの木の生体電位のデータを音楽へと変換する。世界中に植わっている木々の呼吸をこの場所で音楽として享受できるのだ。

世界中の木々の声が音楽となって流れるスピーカー。
Ryuichi Sakamoto + YCAM InterLab “Forest Symphony in Moerenuma”(C) Kentaro MINAMI(SS)

 坂本氏は、2007年に森林保全団体、more treesを立ち上げた。日本のみならず全世界で森の再生プロジェクトに貢献している。森が自身の再生能力を取り戻すために、間伐し、太陽の光が地面に届くようにする。そして森の本来の生体系をも取り戻していく。

 2009年には、このプロジェクトに賛同したルイ・ヴィトンとともに、長野県小諸市に「ルイ・ヴィトンの森」を作り、森のメンテナンスを続けている。5年が経ち、この森もずいぶんと美しさを取り戻してきているそうだ。

2014.08.08(金)