報道関係者も知らない航空機の情報を入手

 東京都と上野動物園は、双子の渡航日が1月27日(火)に決まったと1月19日(月)に発表した。なかなか発表されないので、「渡航は延期されるのかも」と淡い期待を抱いたファンもいたが、打ち砕かれてしまった。

 そして迎えた1月27日(火)。都と上野動物園は、双子をのせたトラックが同園を出発する時刻を公表していなかったにもかかわらず、お昼には多くの人が詰めかけた。同園は「安全な輸送路を確保するため、沿道でのお見送りなどはご遠慮ください」と公式サイトや公式SNSで事前に伝えていたので、沿道に行くのを控え、トラックが上野動物園から出て行くのを園内から垣間見た人も多かった。

 双子をのせる航空機について事前に開示されていた情報は、1月27日(火)夜に成田空港を発ち、翌日に成都に到着して、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡基地(雅安基地)へ向かうということだけ。離発着時刻や航空会社名、成都に2カ所ある空港のどちらを使うかなどは、報道関係者にも非開示だった。だが、双子の渡航の数日前に、中国の人たちが動画やSNSで、航空会社名、中国から双子を迎えに行く便名と双子をのせて中国へ戻る便名、離発着時刻、空港の情報を発信したので、日本でも拡散された。

 ただし、対象の航空機がよく見える成田空港の第1ターミナルの展望デッキは、工事のため閉鎖中。そのため見送るには、空港の外へ行く必要がある。複数の候補地があり、筆者は直前まで迷ったが、成田空港からタクシーで「ひこうきの丘」へ。行き先を告げると、運転手から「パンダですか?」と聞かれた。すでに何人も乗せたそうだ。片道2700円の料金を支払い、午後7時30分ごろに到着すると、すでに50人以上が集まっていた。

双子をのせた航空機の追跡者数が世界1位に

 日没後で暗い「ひこうきの丘」から滑走路にカメラを向けると、双子をのせる航空機がぼんやりと分かった。肉眼では見えない。同機は午後8時過ぎに離陸。空を見上げたら、暗闇の中、機体のランプが光るのが分かり、見えなくなるまで見送った。

 その後は、スマートフォンに目を落として、世界中の航空機の位置を表示する「フライトレーダー24」を使い、双子をのせた「3U9678」便を追跡。無事に到着することを願いながら見守った。すると、同便の追跡者数は世界1位になった。「フライトレーダー24」のXの公式アカウント(英語)が「なぜなのか分からない」と午後10時過ぎに投稿すると、双子パンダをのせていると教える投稿が相次いだ。

 「3U9678」便は午前2時頃(現地時間で午前1時頃)成都天府空港に着陸。双子の姉のシャンシャン(香香)の渡航時はコロナ禍だったため、日本人の観光客は中国に入国できなかったが(観光ビザは2023年3月15日から申請可能になった)、現在は入国できるうえ、短期間の滞在ならビザも不要。そのため先回りして雅安基地の近くで双子の到着を待った日本のファンもいた。

双子のパネル展は3月1日(日)まで

 上野動物園内の飼育施設「パンダのもり」のジャイアントパンダがいた場所は、当面、他の動物を入れず、現状のままとする予定。2月10日(火)~3月1日(日)はジャイアントパンダの観覧通路が開放され、エリア内を散策できるようになっている。

 園内では、双子の成長や思い出を写真とともに振り返るパネル展の開催、双子を背景に撮影できるフォトスポットの設置、双子の成長を見守ってきた職員から双子へのメッセージを載せた横断幕の展示を実施。2月8日(日)までの予定だったが、パネル展のみ期間を延長し、3月1日(日)まで開催している。

中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(12カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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