「私たちは、それを“腹黒作戦”と呼んでました(笑)」(増田)

近田 具体的には、どんな戦略だったの?

増田 腕も脚も露出して歌い踊った「君こそスターだ!」では、その派手さが災いして不合格になったので、そういう部分は完全に封印してステージに臨んだんです。

近田 本来の趣味嗜好は隠しちゃったのね。

増田 私たちは、それを“腹黒作戦”と呼んでましたけどね(笑)。とにかく田舎娘を装うことにして、衣装は開襟シャツにサロペット、本来の振り付けも95%カットして、手ぐらいしか動かさない。さらに、妙に場慣れした落ち着きを気取られぬよう、わざとオドオドしてみせたりして。

近田 化けの皮をかぶってたんだ。しかし、周到にもほどがあるよ(笑)。

増田 ユニゾンとハーモニーを聴かせることに専念して、結果は大成功でした。

近田 その時は、何を歌ったの?

増田 ヤマハ所属のピーマンっていう女性3人組の「部屋を出て下さい」という曲。

近田 知らないなあ。何でまたその曲を選んだわけ?

増田 「スタ誕」って、みんな、その時に流行ってる歌を歌うじゃないですか。でも、そんなの、オリジナルのヴァージョンの印象が強いから、そっちに叶うわけがない。だから、あえてあまり知られていない曲を選んだんです。

近田 でもさあ、視聴者的には、耳馴染みのある曲の方がうれしいよ(笑)。

増田 そっかあ。でも、自分たちの人生は、自分たちで決めたかったんですよね。

近田 まあ、結果オーライだよ。決戦大会では、有望株の獲得を目指す芸能プロダクションやレコード会社の担当者が、自社の名前が記されたプラカードを掲げて入札するのが名物だったよね。

増田 決戦大会では、合計8社がプラカードを上げてくれました。

近田 そこで、ほぼデビューが決まったってことだよね。感激した?

増田 本当はジャンプして喜びたいぐらいの気持ちだったのに、「スタ誕」にかける思いがあまりにも強すぎたからか、その瞬間、抜け殻みたいになっちゃったんです。

近田 放心状態になっちゃったのね。

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