CREA Traveller 2026 冬号は「北イタリア」特集。ミラノを拠点に、冬季五輪の舞台となる山岳リゾートのコルティナや白トリュフとワインの産地ピエモンテ、古き港街ジェノヴァ、ルネサンス期の芸術が凝縮するパドヴァ、マントヴァなど、物語のある街を巡っていく。

CREA Traveller 2026 冬号

ミラノと北イタリアの美しい町々

特別定価 1,650円


 世界的な家具・インテリアの見本市ミラノサローネが開催され、デザインの街として輝きを放つミラノ。ハイエンドなインテリアブランドの洗練されたショールームを訪れミラネーゼの暮らしのセンスに触れながら“デザインの美”に重きを置く文化を学ぶ。


ミラノの産業を支えるデザイン業界の輝かしい躍進

 ミラノの主要産業を表すのに、よく“ミラノの3F”という言葉が使われる。このFとはファッション、フード、ファニチャーの頭文字をとったものだ。“ファニチャー”については、「ミラノサローネ」という1961年から続く世界最大級の家具やインテリアの見本市によって、国際的に注目されたことにもよるだろう。

 その時期には各所で展示やイベントが行われ、街中はお祭り騒ぎに。人気は年々上昇し、2025年には世界中から約30万人が訪れたと言われている。

 ミラノのインテリア文化は、近郊にある家具の一大生産地、ブリアンツァから花開いた。この地は良質な木材資源を得やすかったこと、そしてミラノの富裕層の別荘地に近く、高級家具の需要があったことから家具製造業が発展したと言われる。

 そして世界有数の建築家を輩出してきたミラノ工科大学が同地と連携したことで、さらにデザイン性が加わったのだ。

 さて、そんなミラノではデザインウィーク以外の時期にも様々な場所で素晴らしいデザインに触れることができる。家具メーカーのショールームも集中しており、デザイン関係のギャラリーやショップも多数存在する。

 街中がイタリアンモダンデザインに溢れるミラノ。そんな豊かな空間に身を委ねてみるのもこの街を旅する醍醐味だ。

次のページ 19世紀の邸宅に家具を展示 優雅な日常生活に触れる贅沢

CREA Traveller 2026年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。