2023年、ローマと東京において、相次いでブルガリ ホテルがオープンを果たした。客室、ダイニング、バー、スパ……すべてのクオリティは、軽々と想像を超える。
世界中の羨望を集めるハイブランドが手がけるホテルの秘密とは? 3回に渡りブルガリ ホテルの魅力をご紹介。今回は2004年にミラノでホテルを開業して以来、煌めきを放ち続ける世界各国のブルガリ ホテルズ & リゾーツ。
ハイジュエラーの誇りをディテールに込めて
![ドバイは、ビーチでのアクティビティが充実。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/a/1280wm/img_8ade55761b3a23c562e64e132b61297b469404.jpg)
ブルガリ ホテルズ & リゾーツが、最初のコレクションとしてミラノにホテルを開業したのは、2004年のこと。
それまで120年もの長きにわたり、ハイジュエラーとして確たる評価と人気を勝ち得てきた究極のラグジュアリーブランドが新たな領域に乗り出すというニュースは、驚きをもって受け止められた。
18世紀の建物にリノベーションを施したこのホテルは、あくまでも上品な印象を与えながら、さりげなく贅が尽くされている。ブルガリにしか具現化し得ないエレガンスが、そこにはしっかりと存在した。
![ミラノの“ブルガリ スイート”は、194平米のプライベートガーデンを備える。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/7/1280wm/img_779c11fc27a985a277f93830d2db4c61407604.jpg)
その後は、ロンドン、北京、上海、パリなどの大都市にホテルを、ドバイやバリにはリゾートを次々と展開する。
感心するのは、プロパティの立地条件。何しろ、いずれのホテルもリゾートも、そのデスティネーションにおける一等地にオープンしているのだ。理想の物件に出会うまで、長年待つケースもあるという。
すべての施設のインテリアデザインを手がけてきたのは、建築設計事務所「ACPVアーキテクツ アントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィエル」。
![バリのスパでの施術は、アジア式とヨーロッパ式を融合。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/1280wm/img_2bb752e3968ed847120ceb9ecc791412500391.jpg)
東京においてニレ材のアーチや和の紋様をフィーチャーした例などに著しく表れているように、彼らは、現地にルーツを有する文化を尊重しつつ、ブルガリの母国イタリアのスタイルとの融和を行う。
その姿勢は、デザインに留まらないだろう。食やホスピタリティといった面においても、「ブルガリらしさ」とその土地が醸成してきた美点とが出会うことで、進化した魅力を持つステイが提供されるのだ。
![ロンドンではプライベートシネマも楽しめる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/6/1280wm/img_766fa0f3572f63d904b4c14705f714e6347854.jpg)
今後は、米国のマイアミビーチ、ロサンゼルス、そしてモルディブのランフシの3カ所がオープンを控えている。これで、ブルガリ ホテルズ & リゾーツの宿泊施設は12軒を数えることとなる。
唯一無二のブランドの名を冠し、地球儀にちりばめられた宝石は、これからも高貴な煌めきを放ち続けるに違いない。
2023.10.18(水)
文=下井草秀
CREA Traveller 2023 vol.4
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。