この記事の連載
ブルガリ ホテル ローマ
ブルガリ ホテル 東京
世界のブルガリ ホテル
CREA Traveller 2023 vol.4の特集は、「HOTEL」。
いつの時代も人々はホテルに非日常を求め、その特別な体験によって価値観をアップデートしてきました。世界に数多あるホテルの中から、一生に一度の体験を得られるデスティネーションホテルや、あの街の定宿にしたくなる新たなお気に入りなど、特別な時間が約束されたホテルをご紹介します。国内外から選りすぐった〝非日常へと誘う〟至福のホテルリストです。今度の旅は、ホテルを目的に旅程を組んでみるのはいかがでしょう?
CREA Traveller 2023 vol.4
ホテル、非日常への誘い
286 Destination Hotels
定価1,500円
CREA WEBでは、CREA Traveller 2023 vol.4のコンテンツの一部を大公開します!
2023年、ローマと東京において、相次いでブルガリ ホテルがオープンを果たした。客室、ダイニング、バー、スパ……すべてのクオリティは、軽々と想像を超える。
世界中の羨望を集めるハイブランドが手がけるホテルの秘密とは? 3回に渡りブルガリ ホテルの魅力をご紹介。今回は永遠の都の重層的な歴史とブルガリの美学のマリアージュが生んだ、ブルガリ ホテル ローマ。
心躍る仕掛けに満ちた悠久の歴史を感じるホテル
![ブルガリ ホテル ローマの建物は、第二次世界大戦前に建設が進み、戦後の1950年に落成。ブルガリ本店からもほど近い。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/1280wm/img_4aad03c0e0ba8b5b7ce010e0241f312d921149.jpg)
爽やかに晴れ渡ったローマの2023年6月9日(金)に、ゼンデイヤなど各国のセレブリティを招いた前夜祭とともに華々しくデビューしたブルガリ ホテル ローマ。
![重厚なファサードには1930年代の人気芸術家たちによる壁画やモザイクが。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/c/1280wm/img_cc8de6bb2d7a23b2236c2d296904aa751116746.jpg)
世界で9番目のブルガリ ホテルとなる同館は、古代ローマ皇帝霊廟広場に立つ20世紀初頭の稀有な名建築を活用し、ローマ生まれのラグジュアリーブランドの粋を極めた殿堂となった。
スペイン広場にほど近いカンポ・マルツィオと呼ばれるこのエリアは、帝政ローマの初代皇帝アウグストゥスが平和を願って建立した記念碑もある、パクス・ロマーナ(ローマの平和)を象徴する土地。1930年代には合理主義様式によるダイナミックな大理石建築物で霊廟広場が整えられた。
![重厚なファサードには1930年代の人気芸術家たちによる壁画やモザイクが。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/b/1280wm/img_9b7a432e007cbd5f36d9ff9f621a776a1240487.jpg)
近くに本社を持ち、ブランド創業の地ローマにオープンするホテルにふさわしい場所を慎重に探していたブルガリはそのうちの一棟、施工面積1万4,000平米、7階建てのビルに白羽の矢を立て、長い歳月をかけて刷新を成し遂げた。
![エントランスにはトルロニア財団蔵の古代彫刻をブルガリが修復して展示。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/1280wm/img_08b7e2a7830d91e02e1776bd6ea0df8e465789.jpg)
ホテルは入り口から心躍る仕掛けに満ちている。
小ぶりの玄関ホール中央には古代ローマ時代製のアウグストゥス帝の彫刻像が鎮座し、訪問客を厳かに迎えてくれる。頭上には数多のヴェネチアングラスの照明が夜空の星のごとく瞬き、磨き抜かれた白黒のマーブル製のニッチや床に広がるモザイクを煌めかせる。
![イタリアンモダン家具が並ぶゲスト専用ラウンジ。シネマ黄金時代のスターたちの写真が華やかさを添える。ソフィア・ローレン、アニタ・エクバーグ……皆、ブルガリの顧客だったそう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/1280wm/img_44b5db6bbf11ad64c7517097656a8d76412040.jpg)
古代ローマ時代に使用された大理石と同じ素材を集め、ブルガリの色彩豊かなジュエリーをイメージした豪奢な大理石モザイクで飾るなど、まさに宝飾品のごとく“貴石”で全館を覆った。
![温かなリビング風のゲスト専用ラウンジ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/1280wm/img_a16dfe9e2cc516f6c4925bdbf035c639541350.jpg)
館内はイタリアンデザインと伝統クラフトワークが集結した特注品で満ちており、品良く居心地良い。フロスやフォンタナアルテの照明、デダールのファブリックに、客室のベッド下に敷いてあるのはアルタイのシルクの毛足が長い絨毯だ。
![ラウンジに置かれたジオ・ポンティ作の陶磁皿は、20~30年代のリチャード・ジノリ窯製。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/5/1280wm/img_5596fdb8e7f95234fac2b849196a56d0984333.jpg)
114ある客室の中でも圧巻が、4階にある面積300平米の“ブルガリ スイート”。10あるすべての窓から皇帝霊廟を望み、ローマのパノラマが独り占めできる。
![イエローベージュで統一された“ジュニアスイート”。©Bulgari Hotels & Resorts](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/1280wm/img_38c4e16d530555f8f2696876cd7bf40a424279.jpg)
ブルガリのラグジュアリーなホスピタリティは、ガストロノミー部門でも輝く。館内の趣向を凝らした6つもの飲食施設で、アブルッツォ州の3ツ星レストラン「レアーレ」のオーナーシェフ、ニコ・ロミート氏の本格グルメが味わえる。
![地下にはウェルネスの神殿のごとき1,500平米ものスパが。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/c/1280wm/img_fcf8f19c2b6b010296f12f9464175c98518400.jpg)
ブルガリ ホテルズ & リゾーツのガストロノミーコンセプトを監修する彼はローマ滞在も長く、「ここは私の第二の故郷です。各国の店で研鑽してきた経験を生かし、伝統の味をコンテンポラリーに整えた、当店ならではのグルメを楽しんでいただきたい」と思い入れもひとしおだ。
![イタリアに初上陸を果たした「ブルガリ ドルチ ブティック」の“プロフィトロール”。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/1280wm/img_7e5341930f51f442591c2a111d4a1722525346.jpg)
2023.10.14(土)
文=大平美智子
撮影=小野祐次
CREA Traveller 2023 vol.4
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。