なぜ“そこ”で寝ていたのか?

 Yさんはこたつの中にいたのです。

 絶叫したくても声が出なかったYさんが息を止めながらバタバタもがくと、重い布団がようやく押し上げられ、冷たい外気と光がワッと押し寄せてきました。

「ああ、くるしかったぁ~」

 こたつから這い出したYさんが顔をパッと横に向けると、部屋の戸口に恐怖に顔を歪めるYさんが立っていました。

 彼は「わっ、わあぁーーーーー!!」と大きな声を上げ、ドシンと尻餅をつきました。

 その瞬間、こたつから顔を出していたYさんの意識はぷつりと途切れました。

「どうしたの!? おっきい声出して……」

 気がつくとYさんは大勢の親族たち、そして両親に囲まれていました。

 抱きかかえられながら起き上がると、そこは物置の中でした。

 なぜ、自分が物置の中で寝ていたのか。大人たちに何度問い詰められてもYさんはうまく事態を説明できず、物置で遊んでいるうちに変な夢でも見たのだろう、ということで片付けられてしまいました。

 その日の話し合いは夕方ごろには終わり、Yさん一家は食事をした後屋敷には泊まらずに、車で帰路に着いたそうです。

 その日以来、Yさんはあの屋敷や親戚には二度と顔を見せていません。

 あの日のことや親族のことをYさんが両親に聞こうとすると、2人は露骨に嫌な顔をして黙ってしまうそうです。

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Column

禍話

2016年からライブ配信サービス「TwitCasting」で放送されている怪談チャンネル「禍話(まがばなし)」。北九州で書店員をしている語り手のかぁなっきさんと、その後輩であり映画ライターとして活躍中の加藤よしきさんの織りなす珠玉の怪談たちは、一度聞いたら記憶に焼き付いてしまう不気味なものばかりです。