「きっと怖い夢でも見ちゃったんだよ」
小さな窓から差し込む昼過ぎの陽光。冬の冷たい空気の中をチラチラと舞う埃。うっすらと砂埃が積もったダンボール箱。
そこはただの物置で、こたつなどどこにもなかったのです。
Yさんの母に小言を言いながら座敷に戻っていく一同と、彼らに頭を下げる父。母はゆっくりと近づいてからYさんの肩を抱いて言いました。
「きっと怖い夢でも見ちゃったんだよ。もうすぐ終わるから安心してね」
確かにさっきまでこたつがあって、自分に背を向けた男が座っていて、体をぐらぐらと揺らしながら数を数えていて……それから、人が、出てきて、僕の方を……――記憶の違和感に気がついたのはこの瞬間でした。
こたつのバランスがおかしかったのです。
どう考えてもこたつが大きかった気がしたのです。いや、もしかすると座っていたあの男がすごく小さかったのかもしれません。とにかく何かがズレて、歪んでいるような光景しか浮かんでこないのです。
それに、あのときずるり……とこちらを振り向いた人影の顔が、全く思い出せませんでした。
『ああ、くるしかったぁ~』
確かに聞いたその声。それも今や男なのか女なのか、はたまた大人なのか子どもなのかわかりません。










