ランニングでとことん自分を追い込むのがリフレッシュに

――本作は、愚かさの中にも愛おしさがあって、それも人間らしさなのだと語りかけてくる作品です。林さんは、そういった人間らしさをどんなときに実感されますか?

 以前は結構真剣に、それこそ食事制限もするくらいにストイックに筋トレをしていたんですが、どうしても甘いものとか、脂っぽいものを食べたくなってしまう時があって。それを我慢するのか、それとも我慢せずに食べてしまうのか。そんなせめぎ合いをしながら、結局食べてしまったときに、「欲望に抗えないなんて愚かだなぁ。でも、これが人間らしさだよな」と思っていました。食欲はなくならないんだから、うまく付き合っていくことがきっといいことにつながるってポジティブに変換していました。

 今は、役と自分の体型がどうもアンバランスに思えて辞めちゃいましたが、将来、アクション映画に出演できることになったら、また筋トレを本格的にしたいです。アクション映画ってパワフルですし、観ている人を惹きつけるので、大好きなんです。自分の体を使って表現をすることに憧れはあります。

――体を動かすことがお好きなんですね。

 そうですね。学生のときにずっと陸上を続けていたこともあって運動は大好きです。休日はどこかに出かけるわけでもなく、起きたらランニングして、そのあと映画を観に行ったり。そういう穏やかな日常が好きなんです。

――走ることはリフレッシュにもつながりますか?

 走ると、頭の中でモヤモヤしていたものがすっきりとしてクリアになる感覚はありますね。走るってつらいし、しんどいじゃないですか。だから「つらい」ということだけに集中できるので、他のことを考えなくてもよくなるんです。普段、自分を含め、周りの言動や日々起きていることなど、本当に些細なことを考えすぎちゃうところがあるので、目の前のことに没頭できる時間を持つことを大切にしています。頭がパンクしそうになったら、走り込んで自分をとことん追い込む。それが一番のリフレッシュ方法です(笑)。

林裕太(はやし・ゆうた)

2000年11月2日生まれ、東京都出身。20年に俳優デビュー。22年「間借り屋の恋」で映画初主演。2026年前期NHK連続テレビ小説「風、薫る」にも出演予定。

映画『愚か者の身分』

2025年10月24日(金)全国公開
出演:北村匠海、林裕太、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏、綾野剛ほか
©︎2025 映画『愚か者の身分」製作委員会
https://orokamono-movie.jp/

あらすじ

SNSで女性を装い、言葉巧みに身寄りのない男性たち相手に個人情報を引き出し、戸籍売買を行うタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)。タクヤは闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった梶谷(綾野剛)の手を借り、この世界から抜け出そうとするが……。