競技を離れて見つけた“自分らしい整え方”

 「花探しウォーキング」を終え、すっきりとした笑顔で会場に戻ってきた一ノ瀬さん。イベント終了後に、今回の体験の感想や現在の活動について話を伺いました。

――「花探しウォーキング」を体験してみて、いかがでしたか?

 あっという間でしたし、とても楽しかったです! 普段、アンバサダーとしての活動やプライベートでウォーキングやジョギング中にゴミ拾いをすることはあっても、花に着目して歩くことはなかったので、とても新鮮でした。

 都会には、お店や街並みに合わせて植えられている花も多いんですよね。必ずしも田舎のほうが花が多いわけではなく、都会だからこそ人の手によって植えられた花があって、街を彩っているんだと気づかされました。

 サステナブルな取り組みも、都会だからできない、場所がないから無理って思いがちですけど、ベランダから始められることもある。工夫次第で、本当にどこでもできるんだなって改めて感じました。

――15分9秒歩いてみて、心や身体にどんな変化がありましたか? また、新たに得られた気づきがあれば教えてください。

 最初は少し気持ちが内向きだったかもしれませんが、みんなと一緒に歩くことで自然と心がオープンになり、徐々に会話が弾むようになりました。

 花を探すという共通の目的があったからこそ、初対面の人とも打ち解けやすく、時間もあっという間に感じられました。何か一つゴールを決めると人とつながりやすいというのは、新しい発見でしたね。今後、プライベートでもやってみたいと思います。

 15分9秒という数字については以前からアシックスの方に伺っていて、私自身も日々その効果を実感しています。

 たとえばヨガをやろうと思ったときに、「1時間できないならやめておこう」と思うこともありますよね。でも、実際は15分でもやると気分がまったく違う。忙しくてジムに行けない日でも、朝起きてからヨガマットを敷いて少しストレッチしたり腹筋トレーニングをしたりするだけで、1日の始まり方が変わるんです。

 朝一番に自分をないがしろにすると、それが1日に響くというのをすごく感じていて。だからこそ、1日の最初のステップとしてセルフケアの時間は大事だと思うんです。それが約15分で充分だと知ると、一気にハードルが下がりますよね。この数字は、ぜひ多くの人に知ってほしいです。

――ジムやヨガの話がありましたが、普段の生活の中でどんな運動を取り入れていますか?

 ほぼ毎日ジムに通っていて、朝か夕方に行くことが多いですね。ヨガはもう6年ほど続けていますし、散歩もよく行きます。カフェに行くのが好きなので、“今日はこのカフェに行こう”と決めて、携帯を家に置いて歩いて出かけています。

 競技をしていたときは、目標から逆算して今日の運動を決めるというスタイルでしたが、今は大きく変わりました。目標に縛られるのではなく、その日そのときの自分に合う運動を無理なく行っています。

 それこそ生理周期に合わせて、ストレッチだけの日もあれば、元気なときはランやウェイトを取り入れるなど、体のリズムに寄り添うようになりました。引退して初めて見つけられた自分らしい整え方で、メンタルにもいいなと実感しています。

 モヤモヤしたときの解決策としてジャーナリングや瞑想などもしますが、結局一番大きな割合を占めているのは運動です。“まずは運動しないと始まらない”と思っているので、心に何かがたまっているときも身体を動かしてから考えます。走って汗を流すときもあれば、公園で自然の音や匂いに意識を向けて、揺らいでいるものを安定させることもあります。

 振り返ってみると、どういうときにどんな運動や環境が自分に合うかは、トライアンドエラーの積み重ねで見えてきたように思います。もちろん今でも「違ったかも」と思うことはありますが、次に同じような状況になったときに「前にこれをやってよくなったこともあるから、もう一度やってみよう」とか、自分の中で経験を積み重ねています。

次のページ アスリートからアンバサダーへ、アシックスとともに広がる新しい挑戦