「風邪の症状ならば、なんの躊躇いもなく医師に話せるのに、デリケートゾーンのトラブルについては口が重くなってしまう」「心を許しあえているパートナーのはずなのに、性生活の違和感はうまく伝えられない」――。そんな“沈黙”を破る一冊が誕生しました。『CREA』2025年秋号は、結婚・出産・離婚・閉経・性教育まで、人生の転機に訪れる“からだと性のリアル”を、当事者の言葉で徹底特集。黒島結菜、渡辺満里奈、大草直子、荻上チキら豪華出演陣のインタビューをお届けします。

●黒島結菜に聞く「夫婦のかたち」

「黒島家には決まった“母親像”というのがなかったんです」
表紙に登場するのは、昨年結婚と出産を発表した黒島さん。その決断は、多くの人々に新しい家族のあり方や多様な生き方の可能性を感じさせるものでした。本特集ではそんな黒島さんが、出産や子育ての経験から感じたこと、婚姻制度への疑問から、理想の家族像に至るまでを初告白。「結婚したら女性が苗字を変えるのが当たり前」「結婚して子どもを持つのが普通」「母乳で育てるべき」……女性をとりまく様々な「こうあるべき」から一度距離を置いて、自分らしく生きてもいいのだと背中を押されるインタビューは必見です。
●INI・許豊凡に聞く「有害な男らしさ」

「今まで気づかなかった自分の『優位性』に気づいた」
グローバルボーイズグループ・INIのメンバーとして活躍する、中国浙江省出身の許豊凡さんには「男らしさ」をテーマにお話を伺いました。これまでも、ステレオタイプなジェンダー観に対する違和感や、プライド月間の啓蒙などを積極的に発信してきた許さん。日本への留学でマイノリティとなったことで感じた“学び”、ファンと向き合う中で深まっていったジェンダー観まで、当たり前とされてきた社会の構造や価値観に一石を投じる許さんの内面に迫りました。
●大草直子に聞く「性の不一致」
「じゃあ一生このまま誰のことも愛さず、セックスもせずに死んでいくの? と」
ファッションエディター・スタイリストとして多くの女性から支持を集める大草直子さんには、昨年経験した「二度目の離婚」について、率直な言葉で語っていただきました。離婚を決意した背景の一つには、夫との“セックスレス”があったという大草さん。多くの女性が切実に悩んでいるけれど、なかなか口に出すことができない「性の悩み」と、私たちはどう向き合っていけば良いのか。ご自身もパートナーシップに悩み、真摯に向き合った末に新たな人生を踏み出した大草さんに、そのヒントを伺いました。
●渡辺満里奈に聞く「閉経」
「誰かのために自分をすり減らさずに自身を大切に。安心してこちらに来てね」
渡辺満里奈さんに伺ったのは、“閉経”について。からだと心が大きく変化する中で、母親としての自分も、家族のあり方も少しずつ変わっていく――そんな日々の中で感じたことを伺いました。「これから更年期や閉経を迎える女性たちには、そんなに怖がらなくてもいいよって伝えたい」。エイジズムの呪縛から解き放たれ、前向きに生きたくなる名コメント満載のインタビューをお届けします。
●藤崎彩織に聞く「ミレーナと生理痛」
「『それって甘えでしょ』と世界が堂々と思っていたのだ」
人気バンド・SEKAI NO OWARIで“Saori”としても活動している作家・藤崎彩織さんによる書き下ろしエッセイ「自分らしくいられる道具」も必見です。第一子出産後、産婦人科医の勧めで避妊リング「ミレーナ」を装着するという決断をした藤崎さん。学生時代からかなり重い生理痛に悩みながらも、「辛いのはみんな同じ。我慢しながら頑張るのが、大人になるってことだから」と歯を食いしばって生きてきた藤崎さんが、ミレーナとの出会いを通じて、自分らしさを取り戻していく――。女性に生まれたがゆえに、何かを諦めたことのあるすべての女性へ贈る、スペシャル寄稿です。
2025.09.01(月)
文=CREA編集部
CREA 2025年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。