“働く主婦のプロ”が生み出した「ホワイトシリーズ」
最近続々と発刊されている“常備菜”の料理本で、ほとんどの表紙写真に使用されている真っ白な琺瑯保存容器。それが、野田琺瑯の冷蔵庫用保存容器「ホワイトシリーズ」です。料理研究家やスタイリストにも大人気のこのシリーズの発案者が、野田琺瑯に嫁いで45年になる野田善子さん。
家業を手伝いながら、社長である夫を支え、二人の息子を育ててきた野田さんは、まさに“働く主婦のプロ”。ホワイトシリーズも、仕事と家事を両立する中で、必要に迫られて生み出された商品だったそう。
「自宅の隣に事務所(以前は工場も)があり、主人はお昼ご飯も自宅で食べます。以前は、昼休みが50分しかなかったので、その間に家に帰ってともかく手早く食事の支度をしなければなりませんでした。そのため、冷蔵庫に下ごしらえした食材をボールなどに入れておくようになったのですが、収まりが悪いんです。冷蔵庫専用の琺瑯保存容器があったら便利なのに、と思って主人に提案したのがホワイトシリーズの始まりでした」(野田善子さん)
野田さんの希望は、冷蔵庫の中で重ねて保管しやすいように、蓋があって、スタッキングできるもの。そして、お台所のインテリアの邪魔にならず、お料理が映える真っ白の容器でした。
「当時は、家庭用の琺瑯製品は色や柄があるものが主流だったので、白い容器には少なからず反対もありました。でも、主人がお台所での実践を重んじてくれて、少しずつ生産することになったんです」
こうして2003年に発売されたホワイトシリーズは、その機能性とシンプルな美しさで、じわじわと人気となり、琺瑯にはなじみの薄かった若い女性たちをも巻き込んで、琺瑯ブームの火付け役に。2013年には、「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」も受賞しました。
2014.06.13(金)
撮影=松園多聞