ほぼ独学のまま、完成させた具象絵画
やがて18歳の時に訪れたイタリアのアレッツォで、バルテュスは初期ルネサンスの画家、ピエロ・デッラ・フランチェスカに惹かれ、長い時間をかけて模写を行い、その幾何学的な構図やテンペラによる厚みのあるマティエールを学び取っている。さらに17世紀古典主義絵画を確立したニコラ・プッサン、「見たものしか描かない」とうそぶいた19世紀写実主義の主唱者であるギュスターヴ・クールベなどへの傾倒を経て、バルテュスはほぼ独学のまま、絵画史のトレンドから離れた場所で具象絵画を完成させていくのである。
2014.05.24(土)
文=橋本麻里