今ふたたびの海の都モダン・ヴェネツィアへ
共和国時代の華麗な姿を守りアドリア海に浮かぶヴェネツィア。中世と現代が響き合う奇跡の街並みはドラマティックな非日常に彩られ訪れるたびに新しい表情を見せてくれる。心打つ水辺の美都を目指してみたい。
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貴族が愛した水辺に安らぎ、ヴェネツィアの真髄を堪能
Aman Canal Grande Venice (アマン・カナルグランデ・ヴェニス)
2013年6月、ヴェネツィア・ビエンナーレの幕開けとともに、アマン・カナルグランデ・ヴェニスはオープンした。場所は水の都の情緒あふれるサン・ポーロ地区。大運河を見渡す荘厳な宮殿が、この岸辺でボートから降りるゲストを迎える。
建物は“パラッツォ・パパドポリ”として知られる館だ。名家の依頼により、建築家ジャン・ジャコモ・デ・グリージが建造。以来、代々、貴族に受け継がれてきた。
右:フレスコ画が覆う螺旋階段はミステリアスな中世の雰囲気。
アマンリゾーツは今回、イタリアの名工の技をつくし、オリジナルを忠実に再現しながら、パパドポリ宮を修復。ヴェネツィアの美学とアマンの流儀が融合する、ラグジュアリーなホテルを誕生させた。
到着したゲストはまず、地中海の陽光射すデッキから、ほの暗いレセプションホールへ。ここから光に導かれ、螺旋階段を上っていくと、目の前に、カナルグランデのパノラマに浮き立つメインフロアが開ける。
館内はどこまでも劇的で優美。ルネサンス様式のダイニングからサロン、ライブラリーまでを、至高のイタリア芸術が彩っている。壁面や天井を飾るフレスコ画とレリーフは耽美。ムラーノ・ガラスのシャンデリアは官能的に輝き、木彫や家具も高貴な趣をかもし出す。
2014.05.30(金)
文=上保雅美
撮影=木村金太