この記事の連載

さすがに3年前の喋り方は子どもっぽいですね

――完成したドキュメンタリーフィルムをご覧になった感想は?

角野 面白くて、安心しました(笑)。2021年の頃って、自分でももうあまり覚えていないんですよ。ショパン国際ピアノコンクールを前に極度に緊張していましたね。そんな自分を客観的に観る機会はあまりないから、興味深かったです。

――映画の中で印象的だった場面は?

角野 日本に住んでいた時に、「世界から見ても、自分がユニークなのか知りたい」と語るシーンですね。「あの頃から一貫してこういうことを考えていたんだな」と振り返りました。

 でも、さすがに3年前の喋り方は子どもっぽいですね。カップラーメンを食べて、食事のバランスは何も考えていない。今はもう食べないですよ。

――ラーメンがお好きなのかと思っていました。

角野 ラーメンは好きですよ。でもわざわざカップラーメンは選びませんね。最近はいかに野菜を摂るかを考えています。そういうところも含めて、若さを感じました。

日本武道館の公演で「セミが背中に止まった」

――ドキュメンタリーフィルムでは、日本武道館の公演も一部公開されます。同公演で印象深いエピソードはありますか?

角野 映画では使われていないけど、僕の背中にセミが止まったんです。たしか、『24の調によるトルコ行進曲』の演奏中かな。僕は気が付かなくて、演奏が終わって休憩に入った時にスタッフから指摘されました。

 そう言われると、確かに演奏が終わって立ち上がった瞬間に、何か飛んでいくものが見えたんですよね。「あれ、なんだろう」って。最初は幻覚だと思っていたけど、セミだったみたい。

 で、2部が始まったら、足元にもう1回セミがいたんです。その時もまたどこかへ行っちゃったけど、アンコールの時にまた僕の足についていて。思わず、記念のツーショットを撮りました。演奏中に鳴かなくて本当によかったです。

2025.02.27(木)
文=ゆきどっぐ
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=川口陽子
スタイリスト=金野春奈(foo)