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 東京大学大学院在学中の2018年、ピティナ・ピアノコンペティションで特級グランプリに輝いたことからピアニストへの道を歩み始めた角野隼斗さん。2024年10月にはデビューアルバム『Human Universe』をワールドワイド・リリース。2025年11月にはクラシック音楽の殿堂と呼び声の高いアメリカのカーネギーホールへの出演、2026年3月にはフィラデルフィア管/マリン・オルソップとのオーケストラデビューが決まっています。

 自身が手掛けるYouTubeチャンネル「Cateen(かてぃん)」ではクラシックを中心としたピアノ演奏を続け、その登録者数は143万人。幅広い世代から支持を集めています。

 そんな角野さんの2021年からの3年間を追ったドキュメンタリー映画『角野隼斗ドキュメンタリーフィルム 不確かな軌跡』が2月28日に公開されます。角野さんに、ドキュメンタリー映画を観た感想や、昨年開催された日本武道館公演について聞きました。


日本武道館の公演決定をきっかけに腹をくくって

――ドキュメンタリー映画の制作を聞かされた時、どんな心境でしたか?

角野 最初に映画化のお話をいただいたのは2023年の頃で、正直、最初は迷いました。本当に面白くなるのかなって。映画となると約2時間も座っていただくので、面白くなるか自信がなかったんです。

 でも、日本武道館の公演が決まった時に、「自分にとっても大きな出来事だから、これを収めていただくのは大切なことかもしれない」と思えた。それでようやく腹をくくって、OKしました。

――撮影自体は2021年から行われたんですよね?

角野 2021年から『情熱大陸』(MBS)などの密着取材があったんです。その担当ディレクターの望月さんが今回の監督を務めているので、当時撮影した映像も使っています。

――撮影中はどんなことを考えていたんですか?

角野 撮られることにプレッシャーはなくて、何も気にしていませんでした。寝ぐせもついたままだし(笑)。「撮影した映像をどう調理するかは、監督が決めること」と思っていました。

2025.02.27(木)
文=ゆきどっぐ
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=川口陽子
スタイリスト=金野春奈(foo)