世界的ピアニスト・角野隼斗さん。2025年11月にはクラシック音楽の殿堂と言われるアメリカのカーネギーホールへの出演が決まっています。
そんな彼の約3年間に及ぶ活動を追った映画『角野隼斗ドキュメンタリーフィルム 不確かな軌跡』が2月28日に公開されます。
ニューヨークを中心に生活を送る角野さんに、コンクールやコンサート前に必ず行うことや、移動の多い生活で自身の感覚を取り戻すためのルーティンなどを伺いました。
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本番の2時間以内は食べない
――コンクールやコンサート前に必ず行うことは何ですか?
角野 本番の2時間前から食べない。トイレへ行きたくなるのが怖いんです。おなかが痛くなったらどうしようって。今のところ、そうなったことはないのですが。それにしても、お腹が痛くなったらどうするんでしょう。
――慎重なタイプなんですね。
角野 全体としては、そこまで石橋を叩いて渡るタイプではありません。でも食事は演奏が終わった後に食べればいいから。あとは緊張していてお腹が空かないという理由もあります。

ジャケットに託した意思表示
――服装面のマイルールはありますか?
角野 ピアノが弾きやすいかどうかは気にします。腕の可動域はピアノを弾くのに関わるから。あとは服の厚みによって汗をかく量も変わりますし。
ただ、どれだけ軽めの服装でもジャケットは羽織るようにしています。僕の演奏はクラシックだとあまりしないようなことも取り入れているので、見た目を正装に近づけることで意思表示する意味合いがあります。ショパン国際ピアノコンクールに出演した時、ジャン=マルク・ルイサダ先生から「最近は黒いシャツだけで演奏する人もいるけど、君はタキシードに蝶ネクタイの正装でかっこいいよ」と褒めていただいたことがあり、それが心に残っているんです。
一度だけイタリアの野外コンサートで、ジャケットを着られなかったことはありました。あれは夏のとても暑い時期だったから、仕方がなかったな(笑)。
2025.02.27(木)
文=ゆきどっぐ
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=川口陽子
スタイリスト=金野春奈(foo)