この記事の連載
チョン・ドヨン インタビュー#1
チョン・ドヨン インタビュー#2
2007年に出演したイ・チャンドン監督の『シークレット・サンシャイン』で、カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を獲得したチョン・ドヨン。それから十数年経った今でも、韓国を代表する俳優として存在感を放ち続けている。そんな彼女が、韓国ノワール『リボルバー』に出演。恋人に裏切られた刑事が、刑務所を出て自分を取り戻そうともがく姿が描かれた本作に出ようと思った理由とは……。
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――今回、『リボルバー』の出演に至った経緯を教えてください。
私自身は、今回、ノワールだからということで『リボルバー』という作品を選択したというわけではないんです。出演に至ったのは、やっぱり前回出演した『無頼漢 乾いた罪』に続いてオ・スンウク監督が手掛ける作品だということが大きかったです。
オ・スンウク監督と初めてご一緒した『無頼漢 乾いた罪』にしてもそうなんですけど、ノワールを撮る監督で、中でも監督のクラシックなノワールの演出は素晴らしいと思います。
私は、そんなクラシックなノワールの物語に力があると思っていますし、彼の手掛ける映画には、静かな中にも熱い情熱が込められているところがいいと思っています。監督の作品は、脚本を読んでいたときよりも、完成したときにこそ、際立って見えるところがあると思います。
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――前回、出演した『無頼漢』は、キム・ナムギルさんが演じる刑事と、チョン・ドヨンさんが演じる殺人事件の容疑者である恋人を待ち続ける女性との危うい関係性が印象に残る作品でした。今回の『リボルバー』では、やはりイ・ジョンジェさんが演じる刑事をかばったためにチョン・ドヨンさん演じる刑事がハメられて、罪を被って刑務所に入ったところから始まる物語でした。
二作品ともに、ノワール作品ではあるんですが、私からすると、それだけではないものがあると思うんですね。『無頼漢』は、キム・ナムギルさんが演じたチョン・ジェゴンと、私が演じたキム・ヘギョンの愛を描こうとしたメロドラマでもあると思って演じていました。もしかしたら、このふたりの関係性の中に愛があったと思う人も、ふたりの中に愛はなかったと思う人もいるかもしれません。
映画の中に描かれていたのは、日常でよく見る愛の形とは違っていたかもしれないけれど、だからと言って、ふたりの間に愛がなかったとは言いたくないと私は思っています。ありきたりではないふたりの愛に魅了されて『無頼漢』に出ようと思ったともいえます。そこは観客の皆さんにもそれぞれに感じてほしい部分ではあります。私は、『無頼漢』はラブストーリーだと思って出演しました。
2025.02.27(木)
文=西森路代