いまや国民食と言われるほど、日本人の生活に根ざしたラーメン。濃厚豚骨魚介スープ、鶏白湯など、トレンドの変化はめまぐるしい。しかし、そんな今だからこそ食べたいのが昔ながらのシンプルな一杯。人々の暮らしにそっと寄り添う中華そばを探して米沢へ。
そばの店 ひらま
熟成と2回手もみで、個性的なちぢれ麺を実現
米沢の市街地から車で約20分。田んぼが広がる田園風景の中にポツンと佇む。1960年、製麺所として創業。72年にラーメン店を開いた。使い込まれてはいるものの、隅々まで磨かれた清潔感ある店内で腕を振るうのは平間忠さん・光子さんご夫妻。カウンター向こうの厨房では、2人の息の合ったコンビネーションが見られる。
「夏は2日、冬場は3~4日と季節によって熟成期間を変えています」(忠さん)という麺はちぢれを強くきかせた細麺で、製麺後と茹でる直前の2回手もみを施す。茹で時間は1分未満。熱々を一気呵成にすするとツルツルとしたのど越しと、モッチリとしたコシが同時に味わえる。「さらさらの舌触りが大切なので、茹で湯は頻繁に取り換えています」(忠さん)という心遣いもうれしい。
自慢の麺に合わせるのは、スッキリした中にも適度なコクと醤油の輪郭が感じられるスープ。鶏ガラと豚骨をベースに、煮干し、香味野菜などを加えてとったダシに、地元産の生醤油を数種類ブレンドしたタレを加えている。
店主夫妻の温かい人柄と、丁寧な仕事ぶりが感じられる一杯だ。
そばの店 ひらま
所在地 山形県米沢市浅川1314-16
電話番号 0238-37-2083
営業時間 11:20~16:00(スープがなくなり次第終了)
定休日 水曜日
席数 カウンター12、テーブル12
予算 中華そば600円
2014.05.27(火)
文=坂本 愛
撮影=新居明子