いまや国民食と言われるほど、日本人の生活に根ざしたラーメン。濃厚豚骨魚介スープ、鶏白湯など、トレンドの変化はめまぐるしい。しかし、そんな今だからこそ食べたいのが昔ながらのシンプルな一杯。人々の暮らしにそっと寄り添う中華そばを探して米沢へ。

» 第1回 熟成と2回の手もみが生んだちぢれ麺 「そばの店 ひらま」
» 第3回 老舗の一杯はコク深いのに後味スッキリ 「五十番」

熊文

バランスのよさが魅力のザ・米沢ラーメン

「子どもの頃からのラーメン好きで、いろんな店を食べ歩いては家でスープを作ったりしてたんだよ」

 こう笑いながら話すのは店主の大熊巻雄さん。それまで家業としていた農家をやめ、店を開いたのは1989年、42歳のこと。友人の「そば屋でもやってみれば?」という言葉がキッカケだったという。

「知り合いのツテで、高畠の有名店で無理矢理1週間ほど修行をさせてもらったのが春。その秋には、もう店を出してたもんな(笑)」

「消費税8%でも値上げなし!」

 元来のラーメン好きと、研究熱心さが功を奏し、今では米沢を代表する人気店となった「熊文」。その魅力は、バランスのよさにある。鶏ガラ、豚骨、そして煮干しを中心とした節類などでとったダシに、地元ヤマイチ醤油の生醤油を加えたスープは、まろやかで飽きのこない味わい。ほどよくちぢれた、なめらかな食感の特注麺とよく絡む。細切りにしたメンマとの食感の違いもまた楽しい。

「目指しているのは、角のとれた丸みのあるスープ。鶏や豚、魚介……どれか一つが主張しないよう、香味野菜を加えるなど工夫しています。えっ? その配合? もちろん、それは企業秘密だよ(笑)」

熊文
所在地 山形県米沢市春日5-2-52
電話番号 0238-24-3522 
営業時間 11:00~15:00頃、16:30~19:00(日曜日・祝日11:00~19:00) 
定休日 木曜日・第3金曜日
席数 テーブル22、座敷12
予算 中華そば550円

2014.05.29(木)
文=坂本 愛
撮影=新居明子

CREA 2014年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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