この記事の連載
- ミュージカル『キンキーブーツ』インタビュー【前編】
- ミュージカル『キンキーブーツ』【後編】
自分の居場所を探すというテーマに挑みたい
――『キンキーブーツ』を知っていくなかで感じた本作の魅力を改めて教えてください。
『キンキーブーツ』のテーマはとてもストレートで、皆が共感しやすいものだと思っています。自分の考えを変えることで世界が変わる、自分の輝ける場所が見つかるというのがテーマ。
ただ、どれだけそのテーマを皆さんに染み渡らせることができるか、というのが重要だと思っています。単純に「ドラァグクイーンの話なんだ」で終わらせない。そこだけを捉えるのではく、傷ついている人たちがいて、そこから這い上がろうとする葛藤などもきちんと伝えていきたい。素敵なテーマを塗りつぶしてしまわないように、というのは今のうちから考えています。
――前作にご出演された小池徹平さんや城田優さんなどにアドバイスをもらったり、お話されたりはしましたか?
優さんからは「翔真らしくやったら、絶対に大丈夫」って言ってもらいました。
徹平さんとは、実はコンサートで『NOT MY FATHER'S SON』を一緒に歌う機会があったんです。あの曲はチャーリーにとって、ものすごく大事な曲。ローラが初めて他人に、サイモンとして吐露する“本当の自分”、心の中にあるものを歌っている曲だから「すごく難しいよね」という話をさせていただきました。徹平さんからは「内容の“詰めがい”のある曲だから、楽しんでね!」と言っていただきました。
――ダブルキャストは同じ事務所の松下優也さんです。松下さんが演じられるローラはどんなふうになりそうですか?
優也さんとは先日取材日でご一緒しました。強気で勝気なオーラがある方だと思っていましたが、一方ですごく繊細なセンスをお持ちで、ローラの繊細なところをどのように表現されるのか楽しみです。
優也さんのローラはキレがあるでしょうし、妖艶そうだなと想像しています。体の動きなどもすごく勉強になると思います。
あとは、歌声。アーティストのルーツを持っている方なので、シンディ・ローパーの楽曲をどういうふうに歌うんだろうと、僕自身も気になっているところですし、きっとファンの皆さんも気になっているはずです(笑)。
――甲斐さんはミュージカルのご出演も多いですし、歌唱という面ではグングンと実力を伸ばしていらっしゃると思いますが、シンディ・ローパーが作った楽曲を歌ううえでの課題はありますか?
『キンキーブーツ』の初代ローラはビリー・ポーターさんが2013年にオリジナルキャストとして演じられていて、僕の中では深い声で歌う曲だという認識があります。今までそういった楽曲があまりなかったので、すごく僕も楽しみにしているところです。
曲の印象は僕の声にフィットしているというイメージがあるので、ここからどうお芝居やその曲に色を付けていくかという部分が楽しみで……。もう、楽しみなことだらけですね(笑)。
――『キンキーブーツ』のヴィジュアル撮影の様子を映したリールをInstagramで拝見しました。裏話などあれば、ぜひ教えてください!
準備だけに3時間かかったんです! これまでの人生で、3時間かけてメイクしたのは初めてでした。
ヴィジュアル撮影はまだ『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の公演中だったのですが、劇場で(井上)芳雄さんに会ったんです。「可愛いじゃん♡」と言われて、どう反応したらいいか分からなかったです(笑)。
甲斐翔真(かい・しょうま)
東京都出身、1997年11月14日生まれ。2016年に『仮面ライダーエグゼイド』のパラド/仮面ライダーパラドクス役でデビュー。初舞台を踏んだ2020年の『デスノート THE MUSICAL』以降、同年に『RENT』のロジャー役、翌年は『マリー・アントワネット』のフェルセン伯爵役、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役(主演)、『イザボー』『next to normal』などに出演、ミュージカル界でスターダムを一気に駆け上がる。2022年~23年にかけてはミュージカル『エリザベート』にてルドルフ役に抜擢。2023年~24年の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』ではクリスチャン役をWキャストで演じた。25年は『キンキーブーツ』のほか、10月に『マタ・ハリ』に出演予定。
ミュージカル『キンキーブーツ』
2025年4月27日~5月18日 東急シアターオーブ
2025年5月26日~6月8日 オリックス劇場
http://www.kinkyboots.jp/
2024.12.29(日)
文=前田美保
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=木内真奈美(オティエ)
スタイリスト=山本隆司(style³)