「『あらしのよるに』を観劇して、迫力に圧倒されました」

——実際に見てみて、どんな感想を持たれましたか。

福尾 『あらしのよるに』を観劇して、迫力に圧倒されました。絵本のストーリーは知っていましたから、それが歌舞伎になったらどうなるんだろうと。この作品には動物しかいないんですよね。人間が全て演じるというのは、あくまで僕の想像ですけど、すごく難しいはずです。歌舞伎の表現の仕方が素晴らしくて、日本の伝統芸能というものをもっと早く学ぶべきだったなと思いました。

——今回の「食べちゃいたいそう」は歌舞伎で踊られる日本舞踊がベースになり、作品の演出も手掛けられた藤間勘十郎さんによる振付です。体操のプロである福尾さんは、すぐにマスターされたのでは?

福尾 いやっもう難しかったです(笑)!実は、踊り終わると汗だくになる運動量です。自分で体を使って体験をして、こんなに難しいんだ!と、新しい学びがあったほどでした。子どもたちでも真似しやすい振りなので、振付を覚えること自体はそこまで難しくなくて。

「おいしそう」「食いてえなあ」「いけねえよ」「ともだちだ」、ひとつひとつの歌詞と動きがリンクしていて、すんなり覚えられました。でも今回勘十郎先生に直接ご指導いただき、先生の動きやポーズと自分の動きとでは、真似ていても違うんですよ。あの美しさは努力の賜物だと思うので、他の運動をやっていたからといってすぐに完璧にできるものではないです。

——運動神経の大変良い福尾さんでも、そこまでご苦労されたんですか?

福尾 体を動かすこと自体は得意なので、こういう動きだと理解するのは早いほうだったかもしれません。そこは、今まで体操をやってきた経験が活かせたように思います。

2024.12.24(火)
文=宇野なおみ