2024年、十二月大歌舞伎第1部で再演され、大好評を博した『あらしのよるに』(きむらゆういち原作、藤間勘十郎演出・振付)。狼の“がぶ”、山羊の“めい”との友情を描いた絵本が歌舞伎になりました。平成27年初演以来、何度も上演されてきた本作品。好評を受け、松竹公式動画配信サイト「歌舞伎オンデマンド」にて、12月28日11時から「疑似生配信」されることが決定しました。
それに伴い、第12代・体操のお兄さんとして活躍された「誠お兄さん」こと福尾誠さんが、開演前、幕間、終演後に生出演。さらに、誠お兄さんと歌舞伎のポーズに挑戦できる「食べちゃいたいそう」の特典映像にも登場します。
狼であるがぶの目線で踊る「食べちゃいたいそう」は、今回の公演で使われた楽曲を子どもたちに親しみやすいようにアレンジ。演奏も別途収録した特別版です。歌舞伎の見得や日本舞踊のような動きは初体験だったという福尾さん。今回は特典映像の収録を見学し、インタビューを行いました。
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「食べちゃいたいそう」収録現場レポート
がぶをイメージした黒の衣裳を身に付けた誠お兄さん。今回は、めいをイメージした浴衣を着た女の子2人と踊ります。
「ともだちだけど、おいしそう」。食べたいなぁと思ってしまうけれども、友達だからダメ。山羊のめいを思うがぶの苦労と葛藤が一曲の中で繰り返されます。子どもも覚えやすい、真似したくなる振付ですが、なかなかの長さで、見た目よりハードそうです。
丁寧に、表情豊かに踊る福尾さん。歌舞伎でおなじみの「見得」を決めるなど、歌舞伎の雰囲気をバッチリとらえています。
収録の時、共演のお子さんたちに絶えず声をかけ、時にはリラックスしてもらえるようにおちゃめな一面を見せる福尾さん。私たちがテレビで見ていた優しい「誠お兄さん」そのままでした。
誠お兄さんにインタビュー
収録後にお話を伺いました。
——今回、オファー受けてどのように思われましたか?
福尾誠さん(以下、福尾) まず、僕でいいのでしょうか?と思いました。それと同時に日本の伝統芸能である歌舞伎に自分が携われることがとても嬉しかったです。歌舞伎は今まであまり触れたことがなく、もう体操ばっかりの人生なので(笑)、実は子どもの頃は、白塗りのお化粧に怖いイメージを持っていました。
2024.12.24(火)
文=宇野なおみ