のどかな日本の原風景と、ヤマト王権の面影をたどる

 「何もないのが、楽しい」。と、山の辺の道に何度も足を運ぶ人たちはみな、口をそろえて言うそうです。もちろん素晴らしい歴史的文化財はたくさんありますが、歩いているとたしかにその言葉がしっくりきます。

 郷愁を誘う牧歌的な田園風景がどこまでも広がり、青垣と称される豊かな山々に見守れる田舎道。おそらく何百年前、何千年前と大きく変わっていないであろうのどかな景色は、歩くほどに心を豊かにしてくれる気がします。

 1時間ほどのんびり歩いていたら、弘法大師が建てたことで知られる長岳寺が見えてきました。境内には四季折々の花が咲き誇り、毎秋になると本堂には巨大な大地獄絵が一般公開されるのですが、今回はその隣りにある「天理市トレイルセンター」へ立ち寄ることに。

 トレイルセンターではハイキングを楽しむ人たちのためにヤマト王権にまつわる地理や歴史、山の辺の道にゆかりのある文人などの情報が展示されています。

 また施設に併設されている食堂「洋食Katsui」はハイカーや地元の人たちから大人気と聞き、せっかくなのでランチをいただくことにしました。オーダーしたのは、一番人気のメニューであるエビフライ定食。新鮮な野菜サラダと甘くてプリプリのエビフライでボリューム満点! ハイキングの疲れも吹き飛びます。

2024.12.08(日)
文=平野美紀子
写真=三宅史郎