茶を香るという新エクスペリエンス

 懐石料理と甘味を堪能した後は、竹や麻、藁など自然素材で囲われたカウンター後ろの畳敷へ移動。ここでは新たなエクスペリエンス「茶香」体験が待っていました。ゲストの中央に置かれたのは、水たばこの原理を応用し、茶葉を吸うために特別にあつらえたオリジナルのお道具「煙小卓」。まず、炭をおこして茶葉を熱します。そして、竹製のパイプを深く吸い込むと、気化され、和らいだ茶の香りを鼻腔で感じ、茶味を身体全身で深く味わうというもの。初めての体験にドキドキしながら、パイプを深く吸い込み、煙を吐き出してみると、少し香ばしいような芳しいお茶の香りが鼻腔から抜けていくのを感じます。飲むのとはまた違ったお茶の味わいと、深い呼吸で、気持ちが落ち着いていくような瞑想にも似た感覚を味わえました。まさに新感覚の体験です。

 このエクスペリエンスは京都を拠点とするアートコレクティブ Ochill(オチル)によるもの。宿泊ゲスト限定の体験で、本来は、西陣にある陰翳礼讃の世界を思わせる京町家の瞑想室「落散 京都」での体験となるそうです。
 

 色とりどりに染まり始める森の庭で、極上の秋に浸り、新しい体験に刺激を受けた1日となりました。さらに、来年の秋には、敷地内でもっとも静かなエリアに新しく茶室が誕生するというアマン京都。伝統文化や日本の精神性に触れるエクスペリエンスがさらに拡がりそうで、楽しみです。

アマン京都

所在地 京都市北区大北山鷲峯町1番
電話番号 075-496-1333
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/aman-kyoto

2024.11.26(火)
文=小長谷奈都子