趣深い茶会のフィナーレを飾るのは?
そして、焚合の蓮蒸。ほっこりした蓮根の甘みと出汁の味わいに癒される、あ、カニも……と食べ進んでいたら、ピータンという意外な食材に驚きます。王道がしっかりベースにあるからこそ、こうした革新的な試みでコースに変化をつけ、ゲストを惹きつけるのが高木総料理長の手腕なのでしょう。
締めははらすご飯。出汁で艶やかに炊き上げたご飯と脂ののったはらすの相性のよいこと。仕上げに添えられた山わさびもいいアクセントに。料理に合わせて供されたアルコールのペアリングは、シャンパン、白ワイン、日本酒、赤ワイン。いずれも料理の味を引き立て、響き合い、より深みへと誘ってくれるもので、口福度を引き上げてくれました。
懐石料理のラストには、エグゼクティブペストリーシェフ 松尾浩幸氏による甘味が登場。お重の中にはなんとも美しい秋の景色。丹波栗の甘みと宇治ほうじ茶の香りがマッチしたきんつば、柿ムースを白餡の練り切りで包んだ和洋融合の一品、カウンターで表面をキャラメリゼして仕上げたスイートポテト、アマン京都の山椒と北山杉の新芽を忍ばせたガナッシュチョコレート。それぞれ見惚れるほど愛らしいだけでなく、素材の持ち味を活かした風味にもうっとりです。
2024.11.26(火)
文=小長谷奈都子