この記事の連載

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『残酷な神が支配する』萩尾望都/小学館

 アメリカとイギリス、その近郊を舞台に、性的虐待、近親相姦、同性愛、ドラッグ、トラウマ……。社会が抱えるさまざまな問題を、主人公ジェルミ・バトラー一家の性的な確執を軸に描いたサイコ・サスペンス。

「何度見てもこのタイトルには震えてしまう。初読のとき、読み進めるうちに、自分にはこの登場人物たちの人生に関わってしまった責任があると感じ、途中で止めることができなかった。『ある悲しみの話をしようと思う』という静かな始まりが、読み進めるにつれ重みを増しながら迫ってくるのを、夜がふけ、明けていくのと一緒に読んだことは忘れがたい」

鶴谷香央理さんの「マンガを読むときのマイルール」

「スマホを使って電子書籍でマンガを読むことが多くなってから、集中が途切れやすくなり、読むための場所(喫茶店や別の街など)に行って、新鮮な環境に頼って読むことが増えました」

2024.09.28(土)
文=大嶋律子(Giraffe)