●だんだん見えてくる、自分の好きな味

 好きな味の方向性が見えてきたところで、今度は別の角度から、さらに好みを探っていきます。

 例えば、ガリガリさせたりサラサラさせるなどの「食感」を加えたり、牛肉や魚や野菜など、その人が良く食べる「食材」をヒントに塩に調整したり。

 岩塩のピンクや黒、黄色など、塩の「色」も、味わいを決めるポンイントになってきます。

 「お肉なら鶏肉をよく食べる」「ガリガリした食感が好き」「まろやかさをプラスしたい」など、ボードに書かれた20以上の項目から気になるキーワードを伝え、その特徴を持った塩を味見して、「これ」と思うものを選びます。

 そして、最初に選んだベースの塩と混ぜ合わせると、オリジナルの塩は完成。

 青山さんが考案した600パターンにもなる塩のブレンドレシピのなかから、最終的にその人にぴったりのたったひとつのレシピに巡り合えるのです。

 実は、お店をスタートする前、ワークショップで100人以上がこのブレンド体験に参加したところ、ひとりとして同じレシピにはならなかったそう。

 それだけ、人の味覚は繊細で、それぞれに異なるということなのかもしれません。

 「日本はもちろん世界各国の職人さんの手で、おいしい塩が生み出されており、その数は4000以上にものぼります。それぞれ、そのままでもとてもおいしいですが、お家にたくさんの塩を揃えて使い分けるのは大変ですよね」と、青山さん。

「おいしい塩を、さらにその人の『おいしい』に寄り添ってブレンドすることで、世界で一つだけの万能塩ができるはず。自分にとって最高の塩と出会えれば、毎日のおいしさがより上質になり、豊かで楽しくなるはずですよ」

2024.08.11(日)
文=CREA編集部
写真=山元茂樹