冬には荒波が断崖の上まで届く!
出港してすぐに双児岩、やがて三ツ岩、二ツ岩を回って、内外海半島沿いに若狭湾へ抜けます。ここからが名前の付いた奇岩などが続く、いわば本編の始まりです。
鎌の柄のような形をした「鎌の腰」、その奥がどこまで続くか誰も知らないという洞窟「地獄門」、中国からの船を係留したという「唐船島」、四角いブロック状に割れた方状節理の「あみかけ岩」、2つの巨岩が折り重なった「夫婦亀岩」……。こうした名前は漁師さんたちが自分の船の位置を伝えるために使っていた通称だとか。
そして、白糸の滝を過ぎると、ハイライトの大門(おおもん)・小門(こもん)。
日本海の荒波によって、断崖に穿たれた2つのギザギザとした洞穴です。小さな穴の方でも大人3人分の高さがあるそう。穴の向こうをのぞき込むと小さな滝が見えます。
冬には荒波が断崖の上の松の木があるあたりまで届くというから、その迫力、想像を絶します。
通常は、大門・小門で風景をしばらく眺めた後に引き返すらしいのですが、この日は、船はさらに進み、断崖を回り込んで岩の割れ目へと分け入っていきました。ゆっくりと最奥まで進むと、そこには断崖を伝う吹雪の滝が。先ほど大門・小門の間から覗いた滝です。
近接した断崖の間を進むため、海況が良好でないと、なかなか行けない大門・小門の裏側。上陸して吹雪の滝をそばで見て、大門・小門から大海を覗いて、透明度の高さに驚いて。断崖に囲まれた秘密の入り江のような雰囲気も、スペシャル感たっぷりです。
2024.08.10(土)
文・撮影=古関千恵子