メイクアップのワクワク感に溢れた「ピンク」が大ヒット

 ピンクは、すべての女性にパワーを与えるカラー。KAORIさんがそう確信する出来事があった。

「2歳になる娘とベルサイユ宮殿を訪れたとき、それまでぐずっていたのにマリー・アントワネットの部屋に入った途端、ピタッと泣きやんだんです。ああ、こんなに小さい子でもピンクは特別なんだと実感しました」

左:カレードスコープ ニュアンスカラーはKAORIさんのスケッチから製品化がスタート。
右:Wクレヨン&グロスリップスとネイルカラーの試作品。

 ピンクに心躍らない女性はいない。熟考の末、ファーストコレクションのテーマを決めた。発表されたアイテムには“ピンクの魔法”が溢れている。ブレンドしたり重ねたり、自由に使えて、そのたび新たなピンクが現れる。

初コレクションはふたりのモデルを起用した広告ビジュアルも話題に。

「初めてメイクしたときのようなワクワク感をもう一度、感じてほしくて。ピンクと一口に言っても、無限のニュアンスがある。だから万華鏡をクルクル回すように楽しみながら、“今日の私のピンク”を見つけ出してほしい」

 カレードスコープ(万華鏡)の名がつくニュアンスカラーは、コレクションの顔となった。6色のパウダーの上に描かれた細いラインには秘話がある。

「当初は色の境目にラインが入るイメージでしたが、開発中に偶然、メンバーの手が滑って、プラスチック模型のラインがパタッとズレた位置に落ちたんです。その瞬間これだ! と思いました。動きが出て、より万華鏡らしく見えたんです」

 クリエイションの醍醐味は「思い描いていたものが具現化していくこと」。一方で、商品開発チームとディスカッションを重ねることで「想像と違った方向に行くことも楽しい」という。

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2014.03.21(金)
文=佐藤陽子
撮影=藤巻 斉(静物)、杉山秀樹(取材)

CREA 2014年4月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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