ごはんは美味しく食べたいよね
LiLiCo その話を聞いて思い出したんだけどね、その大運天中殺というのが始まった2023年に初めてスウェーデンでも有名になろうと考えるようになったんですね。
松崎しげるさんと『これを愛と呼ぶのか』というデュエット曲を出したんだけど、これは、私がスウェーデンのヒット曲を日本語訳したもの。原作者はラッセ・ホルムさんという作曲家兼歌手の大スターなんです。彼に許可を取らなきゃいけなかったけど、全然問い合わせ先に辿り着かなくて。
そんな時、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2023」で偶然、スウェーデンの女性の監督に知り合って。彼女が1週間で連絡先を探してくれて、無事に許可が降りたの。
ケイ子 すごい展開ですね。
LiLiCo さらにそのラッセ・ホルムさんが私に会いたいって連絡をくれて、スウェーデンで1番有名な朝の情報番組にリモート出演したんですよ。生放送には慣れているから、指定された秒数でしっかり終わらせたら、今度はぜひスウェーデンに来てくださいと話が進んだんですよ。
ケイ子 すごい流れですね〜! やっぱり初めてのことが続くんですね。
LiLiCo そうやって、初めてスウェーデンのテレビにちゃんと出たの。その後、街を歩いていたら一人の女性が「あなたを見て今日、すごく元気になった。ありがとう」って声をかけてくれて。あ、私、スウェーデンでもやってみよう!って。その時、道がひらけた気がしました。
それと同時にJNTO(日本政府観光局)がスウェーデンに事務所を開設することになって、今は新しいプロジェクトが動き始めるかどうか、という状況なんです。
ケイ子 この10年は特にLiLiCoさんの考えや思いを発信すれば、助けてくれる人が現れます。
LiLiCo これまでもそういうことたくさんあったけど、これから特に? びっくり。でも積極的に言うようにはしています。誰に会うかによって宿命が決まるというのは本当にその通りよね。この世の中は人と人でしか繋がれないのよ。それは私の口癖でもある。
ケイ子 この大運天中殺は天から運をもらうんじゃなくて、借りるものなんですね。だから、20年の間にもらいっぱなしではだめで、返さなきゃいけないんです。そこも意識してください。
LiLiCo え! 返す! どんな風になにを?
ケイ子 例えばお金を稼いだならそれを分散させたり、社会貢献に回したり。人脈を築いたなら、今度はLiLiCoさんが次の人に繋ぐこともとてもいいです。
先ほど、すでにLiLiCoさんは「差し上げる」というキーワードを自分で見つけていらっしゃったのはさすがですね。
ケイ子 大運天中殺が人生の前半に来ると破壊条件が大きくなるんです。ある程度、人生の酸いも甘いも分かった状態の、今のLiLiCoさんの年齢で来るのは最強ですよ。
LiLiCo わあ、嬉しい! 今日のテーマだった人生の冬の時代を最後に振り返ってみるとね、私は人生にタイミングはあると思っています。
大きなオーディションで落ちてしまったこともあったけど、声がかかっただけでも嬉しい。CMの最終候補まで残ったけど選ばれなかった時も、あの人と比べてもらって嬉しい。そんな風に、ある種ドライな考えで乗り越えてきたかなと思います。クソーッ!って憤慨ばかりしていたらご飯も美味しくなくなっちゃうでしょ(笑)。
人と人を繋げるのはとても好きだし得意分野だから、これからもいい縁があったらちゃんと繋げていこうって改めて思いました。
ケイ子 その考えは誰にとっても人生の大きなヒントになりますね。今日はありがとうございました。
LiLiCo(りりこ)
1970年11月16日、スウェーデンのストックホルム生まれ。18歳で来日し、1989年に芸能界デビュー。2001年から『王様のブランチ』で映画コメンテーターとしてレギュラー出演。歌手や俳優、ナレーターなど「16個も肩書きがある」という通り、幅広く活動中。
Column
東京ケイ子の算命学特別占い~あの人の冬の乗り越え方~
CREA WEBで人気の占い「オンナの算命学」を手がける東京ケイ子。古代中国で生まれた、運命を算出する学問の「算命学」で、気になるあの人を占う連載がプチリニューアル。ゲストの人生において、“何をしてもうまくいかない冬の時期”にフォーカスし、苦難をどんな風に乗り越えたのかを聞く。そこには、この世の中を生き抜くたくさんのヒントがあると信じて。
2024.08.01(木)
文=渡部かおり
撮影=平松市聖
イラスト=中村桃子