見えない相手を「恐怖」として受け止める
――どのようなことを感じましたか。脚本を読んで共感したことなどがあれば教えてください。
モンスターという、見えない相手を「恐怖」として受け止めるところ、それは自分にも通じるところがあると思いました。自分も“舞台”という未知の世界を、ある種モンスターのように捉えていたのかもしれません。
自分が舞台に立つということは例えるなら、お化け屋敷に行くよりも怖かった。(笑)舞台で何が起こるかわからないという恐怖がありました。
――「穴」という言葉にはどんなことをイメージしていますか?
この答えが合っているかどうかはわかりませんが、“考え方”だと思います。
最近あることで喧嘩をしたことがあって、自分は後先考えていなくて、なるようになる、と思っていたのですが、なるようになってしまったことが、相手にとってはすごくよくないことだったんです。
この喧嘩で、僕の短絡的な考えが人のことを傷つけてしまったと知って、この考え方から抜け出したいと思いましたし、自分の頭の中にある考え方や概念から抜け出したいという意味で、考え方というものが“穴”に通じるものがあると思いました。
――ひとり暮らしを始められたそうですが、こういう暮らしがしてみたいという理想は実現できましたか?
理想は実現しました! 壁は打ちっ放しのコンクリートで、家具は青色をメインにしています。机も絨毯も青色っぽいので、すごく落ち着くんです。
青と黄色と白を使った、お花畑っぽい絨毯が特にお気に入りで、そこに青色のヨギボーを置いています。そのうえで過ごすのがすごく好きです。基本的にはずっと家にいて、夜ごはんを食べに出かけたりします。
――自分がラッキーだと思えるのは、どんなときのどんなことでしょうか?
出会う人に恵まれていると思っています。これまで関わってくださった先生方、これから関わってくださるノゾエさん、大人計画さんや舞台の方々、自分のマネージャーさんや自分がこれまで生きてきた時間で一緒にいてくれた人たちは本当にいい人ばかりです。出会いや人と人との繋がりにはすごくラッキーで、恵まれていると感じています。
窪塚愛流(くぼづか・あいる)
2003年、神奈川県生まれ。2018年に映画『泣き虫しょったんの奇跡』でスクリーンデビュー。2021年より本格的に俳優活動を開始、瑞々しくも躍動的な存在感を放ち、着実に出演作品を重ねている。2024年5月に公開された映画『ハピネス』で初主演を果たす。テレビ朝日の土曜ナイトドラマ『顔に泥を塗る』が現在放送中。
モチロンプロデュース『ボクの穴、彼の穴。W』
【東京公演】2024年9月17日(火)〜9月29日(日)会場:スパイラルホール
【大阪公演】2024年10月4日(金)〜10月6日(日)会場:近鉄アート館
翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾
訳:松尾スズキ
原作:デビッド・カリ/セルジュ・ブロック
出演:<ボクチーム>井之脇海×上川周作/<彼チーム>窪塚愛流×篠原悠伸
公式サイト
https://otonakeikaku.net/2024_bokukarew/
2024.08.20(火)
文=山下シオン
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=大和田一美(APREA)
スタイリスト=上野健太郎