“過去”をテーマにした名和晃平さんの作品

 イベントのテーマは“チクとタクの間で刻まれる永続的な1秒を、刻々と移り変わる自然の中で感じる特別な一日”。作品もそれぞれ過去、現在、未来と異なる時間軸を題材に製作しているのが特徴です。

 例えば、名和晃平さんの彫刻作品「Peacock and Ether」のテーマは“過去”。作品に添えられた解説によれば、モチーフとなった孔雀は古くから生命や精神の不滅を象徴し、東京都庭園美術館の前身である朝香宮邸でも飼われていた鳥。そこから、止まり木の代わりに水やエネルギーの循環をテーマとする《Ethe(エーテル)》を組み合わせて制作されたものだそう。

本物の水たまりかと見紛う目[mé]の作品

 名和さんの作品のほかにも現代アートチーム目[mé]による“現在”をテーマにした「ELEMENTAL DETECTION」、“未来”をテーマにした小牟田悠介さんの「Warp_Folded Garden」、さらには建築家のエンリック・ミラージェスとベネデッタ・タリアブーエによる木製のダンシング・ファニチャーが会場を彩りました。

 イベントには製作したアーティスト本人たちも来場しており、庭園という開かれた空間で、来場者たちがアーティストに直接話を聞くシーンも多く見られました。作品やロレックスの世界観について、より理解が深まったのではないでしょうか。

2024.05.10(金)
文・写真=石川博也