この記事の連載
- つづ井さんインタビュー#1
- つづ井さんインタビュー#2
別の生き物と暮らすおもしろさ
――Aちゃんが脱走しちゃったエピソード、「老犬と冒険」も微笑ましかったです。ひとりで外に出たことのない犬が遊びに行っちゃうなんて!
つづ井 何年一緒にいても「えっ、そんなことするんや」っていう意外なことが毎日のようにあるんですよね。別の生き物と暮らすおもしろさを実感します。
――人間でも「この人はこんなことしない」と勝手に思ってるだけなのかも、と考えたりしましたね。ちょうちょを追いかけるAちゃんの背中にそんなことを思って。本当に深い作品です。
つづ井 今でもたまにこのときのことを家族と話すんです。「こんなことする子だったんだ」って。みんな、不思議なエピソードとして感じてたみたいで。いい思い出です。
――Aちゃんとのドラマがたくさん詰まっていますね。つづ井さんが高校生の頃、Aちゃんが子犬を見つけた話といい。
つづ井 この話も、いつかどこかで描きたいなと思っていたんです。特別オチがある話でもないんですが、好きな思い出なのでこのタイミングで描けてよかったです。
――犬のちょっとした動作や反応も細かく描かれていて、読んでいて愛おしくなってきます。完全にご自身の中に姿が記録されているんでしょうか?
つづ井 自然に目に浮かぶというか……。そう言われるとそうなのかも? 疑いもせずに描いてましたけど。
2024.04.20(土)
文=粟生こずえ