『女の園の星』『カラオケ行こ!』などの人気作品を生み出しているマンガ家・和山やまさんの「自称、古参ファン」だというつづ井さん。和山さんとの夢の対談が実現し、リスペクトの思いを込めて和山作品の展開の面白さ、緻密な画力などについて、手書きの“紙芝居風プレゼン”で解説してくれました。
つづ井さんプレゼンツ和山作品はゴイゴイス(すごい)
「(和山さんに向かって)初めまして、つづ井と申します。和山先生の作品『うしろの二階堂』をpixiv(コミュニティサイト)で見たときから、“これはくるね、ハネるね”と思っていました。当初から完成度がとんでもなかったので、世の中で注目され始めたときは“ほらきたね”と。古参ファンの私としては、好きなところを100個以上言えるので、僭越ながら発表させていただきます」
①絵がゴイゴイス
「まずは、こちら。卓越した画力です。ホラーマンガのテイストでコメディを描かれているのがとても新鮮でした。その分野で有名な古屋兎丸(ふるやうさまる)先生や伊藤潤二先生などの作品は読んだことがなかった私にとって、とにかく新しさを感じたんです」
「では、詳しく解説していきますね。和山先生が描かれるキャラクターにはふとしたときのしぐさに色気があり、美麗で耽美な表情に心動かされます。それと、和山先生は、人間が好きで、よく見ていらっしゃるなと思います。例えば『女の園の星』1巻の表紙。星先生の眼鏡のレンズがチョークで汚れているんですよ! 確かに学校の先生だったらあることですよね。そんなところを描写されているのが、和山先生のこだわりというか、人間愛というか。読み手として星先生の佇まいに愛おしさを感じました」
「これ、アナログで描いているんですか? と思うくらい線画が美しいです。先生の作品には学生がよく出てきますが、黒髪に制服という同じ絵面なのに、キャラクターをきちんと描き分けられていて、見分けがつくんです。女子高校生たちが制服を着崩していないところも好きです」
「描き込みもすばらしいんですよね。『女の園の星』1巻で犬の副担(ふくたん)が眉毛を描かれて、描いた人は挙手してくださいと、星先生が聞くシーン。生徒全員が手を挙げるんですけど、教室の黒板にマグネットで顔が作られている! それを見つけたときに、なんでこんなことをマンガにできるんだろうと、感動しました」
2022.09.18(日)
Text=吉田大助、CREA編集部
Photographs=榎本麻美